真空管アンプを使って録音から、レコード盤のカッティングまでしていた1960年代は完成度の高い録音は出来ても、製盤に課題があったりしました。レコード盤になるヴィニールの材質、その調合や練り方、プレスした時の圧着のムラや熱の加減。盤面へのカッティングにしてもレコード会社それぞれで考え方が違いました。
DECCAのレコードは重量で黒々としていてSP盤を思わせるほどでしたが、1970年近くになって安定したプレス盤が供給されるようになります。ポップスのレコードにも熱心でしたから、クラシック用に特別な材質を用意することが出来なかったのではないかしら。一方、グラモフォンは良い仕事をしていたと思います。1960年代のカラヤンの音楽がたくさんの愛好家に歓迎されたのは、ジャケットはぺらぺらでも盤面のきめの細かいレコードが気持ち良く音楽を楽しませたからではないでしょうか。ジャズなどには1960年代のプレスでも、針が途中で止まってしまうことや突然に隣のミゾに針が進んでしまうものがあります。