2010-06-26

ワルツ第8番 作品64第3 1846〜47年作曲

2010-06-26 0

生前にショパンが出版したワルツは、この第8番が最後になります。ショパン自身が出版前に見直して大きく書き改められた曲もあって、自筆楽譜との相違は演奏者もまた録音を聴くわたしたちも楽しませてくれます。

  • 第1番 作品18 出版:1834年 ショパン;24歳。
  • 第2番、第3番、第4番 作品34 出版:1838年 ショパン:28歳。
  • 第5番 作品42 出版:1840年 ショパン:30歳。
  • 第6番、第7番、第8番 作品64 出版:1847年 ショパン:37歳。

4回の出版で全8曲。間隔の開きがハッキリとしています。ショパンが目を通して許可した出版譜で、3曲の作曲の時期の違う作品34は仕方がないとして、全3曲を一対に構想されている作品64は3曲の関係は面白いです。

わたしが感じるのはワルツ第6番、第7番、第8番に共有のものは「生命」ではないでしょうか。仔犬でも子どもでも構わないけれども、命の輝き肉体の健全な事への喜びを憧れの思いで観ているようなワルツ第6番。第7番は病気への不安、第8番は心配するよりも残す子どもたちや愛する妻を遠くから見守ろうという平安。達観した平安とは違って少し千鳥足で雲の上を歩いているような感じがします。

しかし、ショパンの全作品の中でもこのワルツ第8番は晴朗な音楽になっています。人なつっこい親しさは感じられないでしょうけれども、聴き込むとワルツ集の中で随一の曲だと思えるようになる事でしょう。楽譜は、カトリーヌ・ブラニツカ伯爵令嬢に献呈されました。

Download now or preview on posterous
64-3-waltz.pdf (401 KB)
  
Download now or listen on posterous
WaltzOp64No3.mp3 (2658 KB)

 

Posted via email from Chopin Pianism
写真は「山野草」。撮影はよしおさん。

オフィシャルブログは、クラシック音楽を楽しむアマデウスレコードです。
「組曲第4番」はブログランキングに参加しています。
にほんブログ村 音楽ブログへ にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ にほんブログ村 動画紹介ブログ 音楽動画へ にほんブログ村 ファッションブログ アクセサリーへ 人気ブログランキング

2010-06-25

ワルツ第7番 嬰ハ短調 作品64第2 1846〜47年作曲

2010-06-25 0

聴けば「あっ、この曲は良く知っている」と誰もがなる“嬰ハ短調のワルツ”が、標題のないワルツ第7番です。ショパンのワルツで悲しげな曲は何でしょうか、と問われて代わりに案内される「別れのワルツ」に人気を横取りされていそうです。わたしは「別れのワルツ」の人気は、この嬰ハ短調のワルツが良い水先案内人を演じているからではないかと思います。

ショパン晩年の曲につきまとう哀愁。テンポ・ジュストで演奏されるこのワルツは、訥々と何かを思い起こそうとしているようです。曲のつくりは「仔犬のワルツ」と同じに出来ています。中間部で変ニ長調(仔犬のワルツと同じ調)に転じますが、穏やかな楽想でもメランコリックな感情は維持されています。ワルツと言うよりもマズルカのようですね。病気の進行を感じ始めていたショパンが、元気にかけまわっている仔犬の様子を観ているうちに、自分のこの先の不安を思っていたのではないでしょうか。楽譜はナタニエル・ドゥ・ロスチャイルド男爵夫人に献呈されました。

この曲に標題をつけるとしたら、あなたならどうつけますか。ちょっと、曲を聴いている間だけでも考えてみて下さい。

 

Download now or preview on posterous
64-2-waltz.pdf (556 KB)
  
Download now or listen on posterous
Op64No2.mp3 (2864 KB)

Posted via email from Chopin Pianism
写真は「考え中」。撮影はよしおさん。

ワルツ第6番 作品64第1 仔犬のワルツ 1846〜47年作曲

小学校の卒業文集に書いた作文と、大学の卒業論文はどちらが優れていますか?ショパンのワルツ第6番は「仔犬のワルツ」として、とても良く聴かれていますね。

「仔犬」があるのなら、「仔猫」もありますか?・・・と、まじめな質問なのか半ば困らせてやろうかという質問なのか。たずねられることがあります。「猫のワルツ」と呼ばれるのは、先に紹介した第4番のワルツ「華麗な円舞曲」です。2曲の間には8年ほどの開きがあります。仔犬のワルツの方が、猫のワルツよりも味わいが薄いとは猫にも失礼ではないかしら。ショパンがサロンで請われるままに即興で書いた曲だから、スケッチを推敲したものではないから劣るのだとでも言いたいのでしょうか。何度も何度もスケッチを描き直して1曲につくりあげたベートーヴェンを楽聖とする判断の一端を垣間見るような比較評論ですね。アドリヴを旨とするジャズよりも再現芸術のクラシックの優劣を論じているように感じられます。

曲は変ニ長調、速度表記は「モルト・ヴィヴァーチェ(もっと速く)」。徐々に加速していくところが、子犬が自分のシッポを追いかけている様子が見えるようです。海外では「1分間のワルツ」と呼ばれていますが、ジョルジュ・サンドが飼っている仔犬の「マルキ」の愛らしい様子を曲にして欲しいと求められて作曲しました。ソステヌートする中間部の優美さはピアノの詩人ショパン独特の世界で、ほろりとする情緒にはうっとりさせられます。楽譜はデルフィーナ・ポトツカ伯爵夫人に献呈されました。

Download now or preview on posterous
64-1-waltz.pdf (249 KB)
  
Download now or listen on posterous
64-1.mp3 (1595 KB)

Posted via email from Chopin Pianism
写真は「威嚇」。撮影はよしおさんです。

 
アマデウスレコード☃ブログ組曲第4番. Design by Pocket