2009年12月18日金曜日

バロックの森 12月第3週「グリーンスリーヴズ」

2009年12月18日金曜日 0
2009.12.14(月)~12.18(金)

ご案内:赤塚健太郎
今週は、バロック時代のイギリスの音楽をお送りします。
月曜日は、パーセルの作品を集めてお送りします。パーセルは王室礼拝堂の少年聖歌隊員を務めるなど、早くから音楽の道に進み、若くして王室礼拝堂のオルガン奏者の地位に就いた音楽家です。惜しくも30代半ばにして亡くなりましたが、様々な分野で名作を残しています。この日は、宗教声楽曲と室内楽曲、さらに劇場音楽の抜粋をお送りしましょう。
火曜日は、ロンドンのオペラ界の様子を眺めてみたいと思います。ロンドンでは、ドイツの音楽家ヘンデルが本場イタリア仕込みのオペラ作曲家として活躍していました。しかし彼にはライバルとなる勢力も存在しました。やがて競争の激化と、人々のオペラへの関心が低下したことなどが原因となり、ヘンデルはオペラ界から撤退します。こうした競争の中では、数多くのカストラート達が脚光を浴びていました。カストラートとは、去勢によって子どもの頃の高い声を保ったまま成人した男性歌手のことです。
水曜日は、イギリスで活躍したイタリアの音楽家に焦点をあててお送りします。当時は、音楽演奏の盛んだったロンドンへ、多数の優れた音楽家が成功を夢見て渡ってきました。そうした中から、管楽器の名手であるサンマルティーニとバルサンティ、さらにバイオリン奏者マッテイスとジェミニアーニの音楽をお送りしましょう。
木曜日は、イギリス王室と音楽家の関係をテーマにお送りします。バロック時代までの音楽家の大部分は、王侯貴族や教会に仕える形で生計を立てていました。イギリスにおいても状況は同じで、音楽家と王室との関わりの中から数々の名曲が生まれています。そうした例を、パーセルやヘンデル、さらに国王チャールズ1世に愛された音楽家ローズの作品の中から聴いていただきましょう。
金曜日は、イギリスで流行した様々な曲集を取りあげます。音楽出版が盛んだったロンドンでは、様々な曲集が出版されては人々の音楽生活を彩っていました。例えば、リコーダーのための変奏曲集である「ディヴィジョン・フルート」や、ヴィオラ・ダ・ガンバの演奏法や変奏法を述べた「ディヴィジョン・ヴァイオル」といった曲集は大人気となっています。また「ダンシング・マスター」という舞曲付きの舞踏書は、17世紀から18世紀にかけて数え切れないほど版を重ねています。

昭和41年、ビートルズが来日した時には親の許しが無くてコンサートに行くことが出来なかった若者が数多くいました。ロックは不良になると言われていたものが、今では日本の音楽のメインストリームになりました。ゴスペルだって、エアロビックの代わりのようで楽しい様子を見ていて教会には無縁の様に感じています。
クリスマスで賛美歌を歌いながら、お正月の支度をしているという年の瀬を送りながら、お正月の初売りで「春の海」や琴の調べが店内に流れている事に意識がむくのか、むかないのか。
宮中で流れる越天楽や、六段の調べは年賀の席を祝う時などの特別な音楽で日常的な日本の音楽ではないでしょう。昭和40年頃までには日常の中に残っていたと思うのですけど、日本の一般大衆音楽はいつしか西欧のロックに入れ替わってしまったみたいです。
ケルティック音楽、あるいはレゲを聴く時に何処の国の音楽と意識していない人は居ないでしょう。ロックもブリティッシュ、アメリカのロックもLAサウンドといった風に取り上げることが少なくない。
X-JAPANが海外公演をしただけで日本のロックが評価されたような扱われ方をするのも、ビートルズが来日してから40年過ぎても日本の新しい音楽と言えるものが成立していないからではないかしら。
それもこれも、日常の中にあった日本の音楽を聴いて育った日本のミュージシャンがどのくらいいるのでしょう。わたしは300年前のイギリスの音楽事情を重ね合わせてしまいます。
バロック音楽の前期、それを遡るルネサンス期のイギリスのクラシック音楽はとても面白いものです。それがバロック音楽の後期、イタリア、フランス、ドイツといった国々の音楽を学ぼうとハイドンやヘンデルを英音楽界に招き入れすぎました。パーセルを最後に、イギリス音楽のオリジナリティはホルストが登場するまでの300年間もの期間が音楽史からぽっかり穴が空いています。
今ではイギリス・クラシック音楽はドイツや、フランスのクラシック音楽とは違った愛好家を魅了しています。ホルストの「惑星」をイギリス音楽と意識して楽しんでいる愛好家はどのくらいいるでしょう。伝統的な音楽の伝承ではなくて、広く通用する独墺のクラシック音楽の作法に則ることが出来て可能となったもの。日本の伝統楽器でロックを演奏すると言うことが、試行錯誤に必要なことでしょうけれども独特の日本ロックを想像することにはならないでしょう。日本も、イギリスも五音階に縛られた音楽文化であるところなど似たところも少なくありません。日本の個性が来年には朝日の兆しを見せてくれるのではないかと期待しています。

2009年12月14日(月) ご案内:赤塚健太郎
(副題:イギリスの音楽(1)―パーセルの作品


アンセム「主に向かって歌え」
パーセル作曲
ソプラノ:スーザン・ヘミントン・ジョーンズ
テノール:ジュリアン・ポッジャー
テノール:チャールズ・ダニエルズ
バス:ピーター・ハーヴィー
バス:クリストファー・パーヴェス
合奏と合唱:ガブリエリ・コンソート・アンド・プレーヤーズ
指揮:ポール・マクリーシュ
(11:11)
<ポリドール POCA-1101>※現在廃盤

3声のソナタ集から ソナタ 第10番 イ長調
パーセル作曲
合奏:リチェルカーレ・コンソート
(5:00)
<Ricercar RIC 080088>※輸入盤

歌劇「預言者、またはダイオクリージャン物語」の抜粋
パーセル作曲
ソプラノ:ナンシー・アージェンタ
カウンター・テノール:マイケル・チャンス
管弦楽:フライブルク・バロック管弦楽団
指揮:ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ
(31:55)
<Harmonia mundi(独) 05472 77858 2>※輸入盤



2009年12月15日(火) ご案内:赤塚健太郎
(副題:イギリスの音楽(2)―ロンドンにおける歌劇)


歌劇「クセルクセス」から ラルゴ「なつかしい木陰」
ヘンデル作曲
メゾ・ソプラノ:波多野睦美
合奏:アンサンブル・レ・ボレアード
指揮とバイオリン:寺神戸亮
(3:00)
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Avex classics AVCL-25043 ひとときの音楽 ~バロックの美しい歌~

カンタータ「アモーレの最初の矢が」
ポルポラ作曲
ソプラノ:クリスティン・ブランデス
合奏:フォア・ネイションズ・アンサンブル
(12:50)
<ASV CD GAU 192>※輸入盤

チェロ・ソナタ ト長調
ポルポラ作曲
チェロ:ロレッタ・オサリヴァン
バイオリン:ライアン・ブラウン
チェンバロ:アンドルー・アッペル
(9:28)
<ASV CD GAU 192>※輸入盤

歌劇「リナルド」から アリア「愛しい妻よ」
ヘンデル作曲
カウンター・テノール:アンドレアス・ショル
合奏:アカデミア・ビザンティーナ
指揮とチェンバロ:オッターヴィオ・ダントーネ
(9:23)
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<Decca 475 6569>※収録オリジナル盤は国内での入手は難しいですけれども、「愛しい妻よ」はベスト盤で楽しめます。

歌劇「アルチーナ」から
アリア「甘き想いが私をとらえ」
アリア「緑の牧場よ」
ヘンデル作曲
メゾ・ソプラノ:スーザン・グラハム
合奏:レザール・フロリサン
指揮:ウィリアム・クリスティ
(11:43)
<Erato 8573-80233-2>
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※放送で使用された輸入盤は現在入手難。「アルチーナ」の全曲盤は製造中止になっています。ただし、オルランドとの2作品セットの全曲盤は購入可(↑)、「緑の牧場よ」はベスト盤(↓)で楽しめます。


2009年12月16日(水) ご案内:赤塚健太郎
(副題:イギリスの音楽(3)―イタリアから渡ってきた音楽家)

リコーダー・ソナタ ト長調 作品2第4
ジュゼッペ・サンマルティーニ作曲
リコーダー:モーリス・シュテーガー
ファゴット:クリスティアン・ボイゼ
ハープ:マルグレート・ケール
テオルボとギター:エドゥアルド・エグエス
チェンバロ:セルジョ・チオメイ
オルガン:北谷直樹
(10:51)
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<Harmonia mundi(仏) HMC 905266>

リコーダー・ソナタ ヘ長調 作品1第5
バルサンティ作曲
リコーダー:本村睦幸
リュート:櫻田亨
チェンバロ:上尾直毅
(12:13)
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<Waon Records CD-080>

合奏協奏曲 変ロ長調 作品3第5
ジェミニアーニ作曲
合奏:モントリオール・バロック管弦楽団
指揮とオルガン:ジョエル・ティフォー
(9:02)
<Atma ACD 2 2122>※輸入盤


組曲 ホ短調
マッテイス作曲
バイオリン:エレーヌ・シュミット
チェロ:ガエターノ・ナジルロ
テオルボとギター:エリック・ベロック
チェンバロ:イェルク・アンドレアス・ベティヒャー
(15:03)
<Alpha 141>※輸入盤




2009年12月17日(木) ご案内:赤塚健太郎
(副題:イギリスの音楽(4)―イギリス王室と音楽家)

歓迎歌「ようこそ、全能の王の代理者よ」
パーセル作曲
ソプラノ:ジリアン・フィッシャー
ソプラノ:テッサ・ボナー
カウンター・テノール:ジェームズ・ボーマン
テノール:マーク・パドモア
テノール:ジョン・マーク・エインズリ
バス:マイケル・ジョージ
合唱:オックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団
合奏:キングズ・コンソート
指揮:ロバート・キング
(14:04)
<Hyperion CDA66598>※輸入盤 単盤は製造中止。セット盤(CDS 44031/8)で購入可能です。

ファンタジア組曲 ニ短調
ウィリアム・ローズ作曲
合奏:ロンドン・バロック
(7:44)
Harmonia mundi(仏) HMC 901423icon


アリア ト長調
ウィリアム・ローズ作曲
ハープ:ジョヴァンナ・ペッシ
バイオリン:ソフィー・ジェント
ヴィオラ・ダ・ガンバ:フィリップ・ピエルロ
テオルボ:エドゥアルド・エグエス
(3:02)
<Flora 1206>※輸入盤


組曲「王宮の花火の音楽」
ヘンデル作曲
管弦楽:ル・コンセール・デ・ナシオン
指揮:ホルディ・サバール
(22:53)
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<Astree E 8512>※放送で使用された Astree 盤は入手難ですが、<Alia Vox AVSA9860
icon>としてSACD盤で楽しめます


2009年12月18日(金) ご案内:赤塚健太郎
(副題:イギリスの音楽(5)―イギリスで流行した曲集)


曲集「ディヴィジョン・フルート」から
グリーンスリーヴズ(作曲者不詳)
グラウンド上のディヴィジョン(ソロモン・エクルズ作曲)
セント・ポール大聖堂の尖塔(作曲者不詳)
リコーダー:エマ・マーフィー
ヴィオラ・ダ・ガンバ:リチャード・キャンベル
テオルボとギター:デーヴィッド・ミラー
ハープシコード:スティーヴン・デヴァイン
(14:27)
<Signum classics SIGCD125>※輸入盤


曲集「ディヴィジョン・ヴァイオル」から
前奏曲 ホ短調
グラウンド上のディヴィジョン ホ短調
クリストファー・シンプソン作曲
ヴィオラ・ダ・ガンバ:ヤープ・テル・リンデン
テオルボ:コンラート・ユングヘーネル
オルガン:ウルリケ・ウィルト
(9:26)
<Channel classics CCS 4792>※輸入盤

曲集「ダンシング・マスター」から
オレンジとレモン(作曲者不詳)
エピングの森(作曲者不詳)
インドの女王(作曲者不詳)
合奏:プレイフォーズ
(10:38)
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<Coviello classics COV 20709>

曲集「ディヴィジョン・フルート」から
グラウンド(ゴットフリート・フィンガー)
グラウンド(ソロモン・エクルズ)
グラウンド上のディヴィジョン(作曲者不詳)
イタリア風のグラウンド(作曲者不詳)
リコーダー:エマ・マーフィー
ヴィオラ・ダ・ガンバ:エミリア・ベンジャミン
ドゥルツィアン:ウィリアム・ライオンズ
テオルボ:デーヴィッド・ミラー
(12:28)
<Signum classics SIGCD125>※輸入盤