ウジ虫ってのはドブのような汚えところに沸くもんだ。
どうでぇ、この世の中は。こんなきたねぇ世間にしたのは、お上じゃないのかい。
そううそぶいて捕らわれた。“鬼平犯科帳 第1シリーズ第3話 蛇の目”のクライマックス。
ストーリーは、ある盗賊団の頭が死んだ。これまでまっとうな(?)盗人団だったので鬼平も厳しくは観ていなかった。残された子分は、頭がこれまで溜め込んでいたはずの大金を探すが見つからない。
とうとう、新しい頭を立てて押し込み働きをするようになった。そうなると鬼平も黙って見過ごせない。事前に押し込む家を知った鬼平は、女籠に乗せて配下を潜入させる。帰り籠には大金を載せ、付き添いの装いで家の主を逃した。
それを知らずに盗賊団は押し入った。そこに、鬼の平蔵が待っていた。
後日、同心酒井が浮かぬ顔をしている。
「あの言葉が耳に残って仕方がありません。」鬼平はそれに答える、「盗人にも三部の道理というもんだ。あの女を観てみろ。蛇の平十郎に捨てられても、もう立派に生きている。」
その後で、名言として「俺のやり方は行き過ぎだと、上から避難されるだろう。どうお裁きを受けることになるかわからないけど、今の江戸じゃ。俺がしないで誰がやれる仕事だ」に注目が行きがち。でも、わたしはその前の女を眺めながら軽い口調で言った言葉に真の返事があると感じる。
ドブのような世間でも、弱い女は汚れてでも生きているんだ。
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