2010-12-05

12月7日の名言:諸君!脱帽したまえ天才だ・・・Yulianna Avdeeva さんの日本デビュー演奏が本格的冬を迎えた日本の寒い夜を熱くした!!

2010-12-05 0

諸君、脱帽したまえ天才が現れた!・・・ショパンを以て、シューマンに言わしめた称賛の言葉です。このシューマンの一文でポーランドから大都会ウィーン、音楽の都パリに出てきたばかりの青年ショパンは華々しく紹介されました。シューマンは続けます。「ショパンは大編成のオーケストラを率いてはいないが、居並ぶ楽器を駆使し、あるときはベートーヴェンのような豪胆さを、そしてシューベルトのような優しさを、またフィールドのような曲想をも聴かせ、そこにポーランドという独特の国民性を加え、それによって、そのコンチェルトは独自性をとりわけ強くしている」と。ショパンの「ピアノ協奏曲」のオーケストラが演奏する音楽は、ベートーヴェンがピアノ協奏曲に求めたシンフォニックなハーモニーからすれば聴き応えとしては物足りないかも知れません。確かに演奏をしている楽団員も、同じ音を伸ばすばかりで練習も面白みがないだろうし目立った活躍も出来ないので気合いが入らないかも知れません。でも、ピアノ独奏者の音楽が立派な主役であるならば共演者としての喜びは素敵な想い出になる事でしょう。

シューマンのこの有名な”諸君、脱帽したまえ、天才だ!”と表現した論説が発表されたのが「一般音楽新聞」(allgemeine musikalische Zeitung)の1831年12月7日号でした。

2010-09-06

夜想曲 第5番嬰ヘ長調 作品15第2 1831年作曲、1834年出版。

2010-09-06 0

前奏曲作品28第8に中間部がよく似ていることで、親しまれている有名曲。演奏が始まって直ぐには良い曲かなあと思うところもありますけれども、聴き終わって、「あぁ!ショパン」って感嘆がこぼれます。ノクターンだけに王子様の横顔を眺めているようです。1831年、ショパンが21歳の時の作品。同年の第4番ヘ長調と、翌年(1832年)に作曲された第6番ト短調とセットにして1833年にまずパリで出版。ライプチヒとロンドンから1834年に出版された、「3つのノクターン 作品15」の2番目に収められています。

 

ノクターンは夜想曲と日本で早くされていますが、音楽様式としてしっかりと根拠のあるものではありません。ショパンは同郷のピアノ音楽の先達であるフィールドが創始した「ノクターン」を引き継ぎました。この作品15に収められている3曲は、フィールドの影響がしっかり現れている第4番と、ショパンらしいノクターンとなった第6番。そして、この第5番と並べて聴く事でそれぞれを単独で聴くときと、3曲をセットとして聴くときには発見が違ったりするのが面白いところです。

他の作品同様にご多分に漏れず、ポーランドの民衆音楽に根っこがあって三拍子が基本となっている踊りの音楽。「夜想曲」という邦訳は妙薬だと思いますが、日本でのこの曲を楽しむときの印象にはずれがあるようです。眠りにつきながら聴く音楽ではなくて、寝ている間に聴いていたい音楽。夢の中で楽しく聴こえ流れているような音楽ではないでしょうか。

イグナツィ・パデレフスキ ピアノ演奏 1911年(明治44年)7月、スイス・モルゲスで録音。( His Earliest Recordings 1911-1912

ショパン生誕100年は公に祝われたのか、密やかだったのかは分かりませんけれどもSPレコードの録音は多い時期です。パデレフスキは1913年にアメリカに移住しますので、SPレコードとしてはヨーロッパでの最後のレコーディング・セッションの1曲ではないでしょうか。パデレフスキは第一次世界大戦が起こるとポーランドの首相兼外務大臣に就いたり、後には国連のポーランド大使を務めています。

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2010-06-25

ワルツ第3番 作品34第2 華麗なる円舞曲 1831年作曲

2010-06-25 0

華麗なる円舞曲というタイトルが出版譜にあるけれども、甘い切ない情緒に包まれるマズルカといった方が似合う。技術的にはショパンが作曲したワルツの中でも容易な曲ですけれども、随所に「ピアノの詩人」としてのショパンの天才が現れている屈指の傑作です。ベスト10に選ばれる時にかかされることはありません。

作曲は曲集の中でも初期。ワルツはショパンの故郷ポーランドにおいて、マズルカと並んで日常的な舞曲だといいますから、ウィンナ・ワルツに接した時に「ワルツが作品と呼ばれている!」と驚いたショパンは作品18の「華麗なる大円舞曲」の路線と生活の傍らに寄り添うような素朴なワルツの路線を書いてみたのでしょう。結果的には作品18として華やかなワルツを出版して、パリで受け入れられることになりました。第1番と第3番のワルツは同じ頃に作曲された双子のような関係の曲で、作品18同様に「第3番」も気まぐれなメロディーの連なりになっています。

単純だけど、微妙な感情の変化が表現できるかを問われる技術的には容易でも、聴き手を感動させるのは難しい曲です。演奏家によって千差万別あるのがショパンですけれども、特に演奏家それぞれで表情が違って聴けるのが「ワルツ第3番」ではないでしょうか。ディブリ男爵夫人に献呈しています。

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写真は「潮干狩り」。撮影したよしおさんが暮らしている有明海の近くでは日常的な光景でしょう。日常的なものほどメッセージを伝えることが難しいものかも知れませんね。

 
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