4/10 (Thu)
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20世紀を代表する邦人作曲家の一人、黛敏郎が没した日(1997年)。10歳代で第二次世界大戦を経験しながらも、モーツァルトに憧れていたという。電子音楽など当時の前衛音楽を吸収することも厭わず、それどころかジャズをはじめあらゆるジャンルの音楽への関心を持つ。独特の配置と仏教の声明を取り入れた《涅槃交響曲》のような芸術音楽の追求と、一方で200近い映画音楽も作曲した。初代「題名のない音楽会」の司会者でもある。
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私のザルツブルク音楽祭でのオペラデビューは、1971年のドニゼッティ《ドン・パスクワーレ》の成功ででした。と、35年経った2006年に振り返り語っていたほどの自信作だけに、本盤のキャスティングは文句ない。 歴史的解釈と現代的解釈を見事に融合させるために、それぞれに適した歌手らを起用。特にマラテスタ役のバリトン、レオ・ヌッチの美声には当時から魅せられているし、タイトルロールのドン・パスクワーレ役には、1947年にイタリア放送協会主催の声楽コンクールで優勝し、ミラノ・スカラ座をはじめとするイタリア各地の歌劇場に登場し、1951年にはグラインドボーン音楽祭、1952年にはザルツブルク音楽祭に出演して話題を呼んだ大ベテランのバス歌手、セスト・ブルスカンティーニが貫禄を見せている。 1979~1980年のシーズンに合衆国でツアーをしていた直後のインタビューで
指揮者はしばしば演出家と衝突します。モーツァルトやヴェルディ、ワーグナーのような作曲家の作品に「内在する」、「音楽にのっとった演出」からあまりに遠くかけ離れているからです。と話していたムーティ。舞台に煩わされないレコードだからムーティも思う存分、彼の音楽美学を発揮。精度、輝きと整合性のために、ドン・パスクアーレの茶番に鋭いウィットと穏やかな感情をもたらした名演です。オペラで腹を抱えて笑いたい人は、ぜひとも楽しんでほしい。
オーダーは | 品番 / 25163 |
販売価格 | 8,800円(税込) |
フォーレの歌の澄んだ優雅さが、モーツァルトの最も美しいアリアを思い起こさせるとするなら、その叙情性はシューマンのリートに匹敵するだろう。こう表現したのはフランスの作曲家、モーリス・ラヴェル(1875ー1937年)です。パリ国立高等音楽院時代の師であったこともあり、ラヴェルはフォーレ(1845ー1925年)の歌曲を高く評価していました。 おそらく日本ではドイツ音楽=クラシック音楽、というくらいドイツ・オーストリア系の音楽家の存在が大きいのだと思います。ドイツ系の音楽については、バッハやモーツァルト、ベートーヴェンなど、さほど音楽に馴染みのない人でも名前くらい知っています。ブラームス、シューマン、ワーグナーあたりの音楽家も、それなりに知られているでしょう。ではグノー、サン=サーンス、ドビュッシー、あるいはラヴェルやサティはどうなのか。フランス近代音楽の巨匠たちです。フランス音楽というのは、どのような受けとめ方をされているのでしょうか。 ラヴェルから見たフォーレに対する世の中の評価は「このフランスの偉大な作曲家に対して、およそ釣り合っていない」という思いがあったようです。中でも歌曲に対するラヴェルの評価は高く、以下のように書いています。
フォーレの歌曲を研究することなしに、この作曲家の真価を理解することは不可能である。彼の歌曲は、ドイツのリートが支配していたヨーロッパの歌曲に、フランス音楽の価値を示すものだった。フランス音楽はドイツ・オーストリア音楽と比べると、どこか柔らかでちょっと気まぐれ、そして軽やかな印象があるように思います。またエスプリや品のいい官能も感じられます。そんなフランス音楽の中でも歌曲は、ドイツのリートやイタリア歌曲とともに、魅力あふれる聴く楽しみの多いジャンルかもしれません。
フランス印象主義音楽の巨匠。13歳でパリ音楽院に入学、22歳でローマ大賞を得てローマに留学した。ロシア音楽の特にムソルグスキーから大きな影響を受けた。彼は音楽家としてたぐいまれな「耳」に恵まれていたが、後期ロマン派の伝統的な和声にあきたらず、模索を重ねていくうちに全音音階に基づく彼独特の和声体系を生み出し、親交のあった詩人マラルメらの印象主義の思想から啓示を受けた、“音楽の印象主義”というべき手法をうちたてた。1892年に作曲した交響詩の「牧神の午後への前奏曲」は印象主義の作風の最初の作品であると同時に、その特色のよくあらわれた作品として知られている。そのほかの主要作品には「ベルガマスク組曲」、「前奏曲」、「映像」、「版画」、「夜想曲」、「海」、「イベリア」、歌劇「ペレアスとメリザンド」などがある。