名作「明日に架ける橋( Bridge Over Troubled Water )」を録音している最中に、ポール・サイモンとアート・ガーファンクルの音楽に対する意見の食い違いが表面化して、、、と Wikipedia には記載(2010年9月10日現在)がありますけれども、アートの映画出演が盛んになって録音のスケジュールが思うように運ばなくなったことが解散(と一言の表現では当てはまらないとは、わたしなりには思っていますけれども)という形で活動に終止符を打つことになりました。
小学生の時からの親友同士が音楽遊びをはじめることは至極普通なことで、生活レベルも悪くなかったと思います。トムとジェリーというバンド名で、ヘイ・スクール・ガールをレコーディング。サイモン&ガーファンクルとして活動しているときには学生時代の録音はLP化されてそれなりに評価を受けています。2年ほど前に扱ったことがありましたね。大学時代には音楽活動などしないでお互いの学校生活を楽しんでいたようだし、デビューアルバム「水曜の朝、午前3時」が不評でも気にかけないでポールは旅に出てるし、アートは大学院に戻っているしでレコード会社のプロデューサーがアコースティックギターだけで録音していたレコードにエレキ・ギター、ベース、ドラムスをオーヴァーダビングしてラジオ局にプロモーションしなかったならばふたりはミュージシャン生活を長年続けることになったのか・・・イタズラが招いたこととしか思えません。
オリジナルアルバムはわずかに5枚。1964年から70年にかけての活動としては当時としては少なすぎます。これではCBSとしても契約更新をしていたことかどうか分かりません。オリジナルアルバムに比べてコンパクト盤も含めればベストアルバムの数は倍以上。レコード発売契約のノルマを埋めていたのでしょうか。ライヴテイクがスタジオテイクの間に入っているのは、当時は目新しかったかも知れませんが曲数を埋める苦肉の策だったのかも知れません。
当時のLPレコードと言えば、13曲から14曲を収録するのはお約束でした。でも、5枚のアルバムで聴けるふたりのハーモニーはわたしたちにこの上のない楽しみとなったのですから嬉しい恵みです。
サイモン&ガーファンクル・グレイテスト・ヒッツ [Blu-spec CD]
「明日に架ける橋」が解散を告げるアルバムとなると、日本独自編集のベスト盤(2枚組)が直ぐに発売になりました。そして毎年ギフトシーズンになると「グレイテスト・ヒッツ」と銘打って曲順を変えたぐらいの内容で発売。USオリジナルのベスト盤であるこの「Simon and Garfunnkel's Greatest Hits(1972)」は不運にも日本編集盤の「グレイテスト・ヒッツII」と選曲、曲順共にまるっきり同じ。アメリカ盤の曲目がアナウンスされると日本で勝手に発売の段取りをつけたという物です。確かに当時は今と違ってビートルズを例にとると、英国で発売されて一ヶ月後にアメリカ盤が発売。それから半年から一年経って日本盤が発売されるという流れ。現在はデジタルデータが一斉に各国のプレス工場に配信されますが、当時はアメリカのマスターテープは国外に持ち出せない決まりでしたから、コピーのテープが船便や航空便で届いたりプレス用の原盤が届けられていました。
グループは解散してるし、同じ曲の音源はあるからサイモン&ガーファンクルがブームにあるうちに発売しちゃおうと言うことだったのでしょう。
★オリコン1位となったS&Gのアルバム★
|     日 付  |      期 間   |   タイトル |    期間売上   |   
|     71/01/18  |      1週   |   S&G ギフトパック (70年版) |     7.3万枚   |   
|     71/02/01  |      7週   |   明日に架ける橋 |    44.0万枚   |   
|     71/07/12  |      18週   |   S&G グレーテストヒットII |    35.6万枚   |   
|     71/11/22  |      10週   |   S&G ギフトパック (71年版) |    19.0万枚   |   
|    (72/04/04)  |      (5週)  |   (ポール・サイモン) |    (12.0万枚)  |   
|     72/12/11  |      3週   |   S&G ギフトパック (72年版) |    17.9万枚   |   
(MS-DATABASE「日本で1位に輝いた洋楽アルバム」より抜粋)
曲目:
- ミセス・ロビンソン
 - エミリー・エミリー (ライブ)
 - ボクサー
 - 59番街橋の歌 (フィーリン・グルーヴィー) (ライブ)
 - サウンド・オブ・サイレンス
 - アイ・アム・ア・ロック
 - スカボロー・フェア/詠唱
 - 早く家へ帰りたい (ライブ)
 - 明日に懸ける橋
 - アメリカ
 - キャシーの歌 (ライブ)
 - コンドルは飛んで行く
 - ブックエンド
 - いとしのセシリア
 
アルバム1枚の流れはスムーズで一切のよどみが無くて素敵です。ライヴの拍手がスムーズに前後の曲に繋がっていますし音質のバランスは整っています。エミリー、キャシー、セシリアと女性の名前の曲目が目立っていますね。きっと、同じ名前の女性は熱狂したことでしょうしレコードは宝物になっていたのじゃないかしら。
レコード会社のプロデューサーが無断でエレキバージョンを作ったのはビートルズ人気にあやかろうと思ったのでしょうし、ビートルズとサイモン&ガーファンクルの似ている点はハーモニー(コーラス)・バンドであるところ、そして学生時代の友達同士であったり活動時期が1963年から70年で終焉を迎えているところなど良く似ています。取り立ててこの2つのグループだけのことではなかったとも考えています。
お友達同士で結成されてずっと不動のメンバーのグループ名という存在は、1970年を境にブランド名的な在り方に変わっていきました。ジェファーソン・エアプレインは飛行機からジェット機になったり、結成時のメンバーと現役のメンバーとで同じバンド名を名乗っていたりとか。バンド名だけが残って音楽性も異なっていったグループもありましたね。1970年という年は、ロック音楽にとっての大きなキーワードです。
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