2010-03-22

ホセ・クーラ主演で、ヴェリズモ・オペラ2大傑作「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」を放送中、月末にはDVDも発売されます。

2010-03-22
神話や荒唐無稽なファンタジーが多いオペラの中で、ヴェリズモ・オペラの確立は「どうせ人ごとだからと」、あるいは「人の振り見て、我が振り直せ」という言葉があるように人々の生活の一面を支えています。
確かに、「ピーターパンの冒険」や「シンデレラ姫」のような物語は必要です。そしてそういう流れの中にも「千夜一夜物語」といったエロスも必要です。
ヴェリズモ・オペラというものは昔や、未来やどこかの世界の話しではなくて、作曲、上演されたその時代のまさに新聞のゴシップ沙汰としてあったようなお話しを題材としています。

内容も濃厚であるためでしょうか、3大ヴェリズモ・オペラと言われている中でも「カヴァレリア・ルスティカーナ」、「道化師」はそれぞれ1時間少々の一幕の歌劇です。
お話しは唐突に始まって、最後に希望が無く主人公があっさりと死んでしまう真っ黒な悲劇ですけれどもバレエ有り、合唱有り。もちろんアリアと二重唱は秀逸。LPレコードが市販されるようになった頃から、1枚に収まることから様々な録音が残されて居ます。きっと、救いのない終わり方に一種のストレス解消が出来ているから今でも数々の上演があるのでしょう。
昨今は、英雄がスーパーマンの装いをしていたり、女神がUFOのようなものから現れたりと荒唐無稽やパロディのような演出が多い中でも面白いことに「カヴァレリア・ルスティカーナ」や、「道化師」の演出にはそういったところがあまり無いのが裏付けているのではなあいかしら。

2010年3月22日、月曜日午前1時10分から、ホセ・クーラ主演で2つのオペラがNHK Bs-hiで放送されています。NHK BS-2で放送されていました。(のり2さんのコメントで勘違いして観ていたことに気がつきました。のり2さん、ありがとうございます。)
ストレートに凄みのある声のホセ・クーラのテノールは素晴らしいものです。が、柔らかみや粋な上品さが無いので朗らかなパヴァロッティほどには日本の音楽愛好家の間では親しみにくいと言う印象のテノールです。
わたしもけして好んでよく聴くテノールではないけれども、今日の放送を観ていて熟成が進めば、声が衰えない限り、もしかしたらマリオ・デル・モナコのような評価を未来では得られるんじゃないかと思いました。

3月29日にDVDとなって、ARTHAUS MUSIK から発売になります。パッケージの写真はとても怖いものなので、店頭で手にとってどのくらいの方が購入されるのか分からない。でも、内容を一番しっかりと表現できていると思います。オペラを斜視しているリスナーからは指示されると思ってもいます。
振り付けが日本人だと言うことも、話題となっていた上演です。
それぞれが1時間ほどですから、日にちを開けてみるというのも良いと思います。

チューリヒ歌劇場公演
歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」   ( マスカーニ )
歌劇「道化師」    ( レオンカヴァルロ )

中規模ながら毎回高品質の舞台を制作するスイス・チューリヒ歌劇場の公演で ヴェリズモ・オペラの傑作2題、「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」を国際共同制作で放送する。
市井の人々をリアリティあふれる音楽で描く「ヴェリズモ(現実主義)・オペラ」。 文学におけるヴェリズモ運動の影響のもとイタリアで興ったヴェリズモ・オペラには 「アンドレア・シェニエ(ジョルダーノ)」「外套(プッチーニ)」といった名作があるが、 最大の傑作は「カヴァレリア・ルスティカーナ(マスカーニ)」 そして「道化師(レオンカヴァルロ)」の2題。 嫉妬、殺人といったリアルなテーマを直情的な音楽で描いたこの2作品は、 それぞれが1幕・演奏時間1時間であることから一晩で演奏されるのが慣例になっている。
それぞれの主人公、トリッドゥとカニオは、ともにテノールのホセ・クーラが演じる。 クーラは1962年アルゼンチン生まれで、その世代を代表する歌手として世界的に活躍しているが、 一夜の上演で両方の主役を歌うのは珍しく、貴重な機会となった。


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歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」   ( マスカーニ )

サントゥッツァ : パオレッタ・マッローク
ルチーア : コルネリア・カリッシュ
ローラ : リリアーナ・ニキテアヌ
トゥリッド : ホセ・クーラ
アルフィオ : チェイン・デヴィッドソン ほ か


歌劇「道化師」      ( レオンカヴァルロ )

ネッダ : フィオレンツァ・チェドリンス
カニオ : ホセ・クーラ
トニオ : カルロ・グエルフィ
ペッペ : ボイコ・ツヴェタノフ
シルヴィオ : ガブリエル・ベルムデス ほ か

合 唱 : チューリヒ歌劇場合唱団
管弦楽 : チューリヒ歌劇場管弦楽団
指 揮 : ステファノ・ランツァーニ
振 付 : 田尾下 哲
演 出 : グリシャ・アサガロフ

[ 収録: 2009年6月19日,21日,, チューリヒ歌劇場 ]

- 国際共同制作: チューリヒ歌劇場 / SWR / CLASART / NHK -

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