記事「3大テノールのパヴァロッティを聴くには、迷わずにこの《イル・トロヴァトーレ》 ― 一時代を築いた名歌手の競演が味わえる。」(2024/10/10)が総合記事ランキング23(21)位になりました!
http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1199496.html
10月10日
イタリアの作曲家、ヴェルディが生まれた日(1813年10月10日)。ワーグナーも同じ年に生まれ、共にオペラの世界を拡張し、後世に残り続ける「名作」を作曲した。ヴェルディは《マクベス》、《リゴレット》、《アイーダ》、《オテロ》、《ファルスタッフ》など、現代でもオペラ公演で演奏機会が非常に多い、人気作品である。
1851年に『リゴレット』を初演、成功させた38歳のヴェルディの作曲の筆はそこからしばらく止まる。1839年の『オベルト』以来、年間1作以上のペースで作曲を続けてきた彼にとっては珍しい事態だった。サンターガタでの農園購入とその経営など、作曲以外の雑事に忙殺されていたのも事実だったが、作曲家としてどうにかこれからの暮らしには困らない収入も得て、この頃の彼はどこの劇場の委嘱も受けず、自ら選んだ題材を好きなだけ時間をかけてオペラ化することができる大家ならではの作曲作法が可能となっていた。そしてそうした自己の選択による作品が、この『イル・トロヴァトーレ』である。
『イル・トロヴァトーレ』の原作『エル・トロバドール』はスペインの劇作家グティエレスによって書かれ、1836年にマドリードで初演された舞台劇であった。中世の騎士物語、男女の恋愛、ジプシー女の呪い、といった雑多なテーマを盛り込んだこの複雑な舞台劇をヴェルディがどうやって知ったのか、今日でもはっきりしていない。初演は、ヴェルディのそれまでのどのオペラと比べても大成功といって良いものだった。世界各都市での再演も早く、パリ(イタリア座でのイタリア語上演)は1854年、ロンドンとニューヨークが1855年である。またフランス語化しグランド・オペラ様式化した『ル・トルヴェール』(Le Trouvère)は1856年にオペラ座で上演されている。ヴェルディ自身はのちに「西インド諸島でもアフリカの真ん中でも、私の『イル・トロヴァトーレ』を聴くことはできます」と豪語している。
『イル・トロヴァトーレ』の原作『エル・トロバドール』はスペインの劇作家グティエレスによって書かれ、1836年にマドリードで初演された舞台劇であった。中世の騎士物語、男女の恋愛、ジプシー女の呪い、といった雑多なテーマを盛り込んだこの複雑な舞台劇をヴェルディがどうやって知ったのか、今日でもはっきりしていない。初演は、ヴェルディのそれまでのどのオペラと比べても大成功といって良いものだった。世界各都市での再演も早く、パリ(イタリア座でのイタリア語上演)は1854年、ロンドンとニューヨークが1855年である。またフランス語化しグランド・オペラ様式化した『ル・トルヴェール』(Le Trouvère)は1856年にオペラ座で上演されている。ヴェルディ自身はのちに「西インド諸島でもアフリカの真ん中でも、私の『イル・トロヴァトーレ』を聴くことはできます」と豪語している。
本盤は1976年9月ロンドン、キングズウェイ・ホール録音。70年代のデッカ契約歌手のオールスター・キャストで録音された『イル・トロヴァトーレ』はバレエ付きオリジナル版ですが、この時代の記録として貴重なものです。やはり聴きどころは全盛期のパヴァロッティ。ボニングの奥様サザーランドも全盛期は60年代と言われますが、まだまだ素晴らしい声を聴かせてくれます。
そして、パヴァロッティの歌唱はファンの期待を裏切ることがないだろう。タイトル・ロールであるマンリーコ役の最大の聴かせどころである第3幕第2場は、パヴァロッティの独壇場であり、マンリーコのロマンツァから幕切れのカヴァレッタまで一気に聴かせてしまう。3大テノールと言われるパヴァロッティを聴くには、迷わずにこのオペラ全曲盤をお薦めしたい。「キング・オブ・ハイC」の別名を採るパヴァロッティならではの歌唱である。
様様な録音のある中で、独特の様式感を感じる演奏だった。往年のオペラ劇場で喝さいを浴びるプリマドンナやウォーモの演奏はきっとこうだったのだろうとしばし陶酔の世界に浸ることができる面白い演奏だ。
そして、パヴァロッティの歌唱はファンの期待を裏切ることがないだろう。タイトル・ロールであるマンリーコ役の最大の聴かせどころである第3幕第2場は、パヴァロッティの独壇場であり、マンリーコのロマンツァから幕切れのカヴァレッタまで一気に聴かせてしまう。3大テノールと言われるパヴァロッティを聴くには、迷わずにこのオペラ全曲盤をお薦めしたい。「キング・オブ・ハイC」の別名を採るパヴァロッティならではの歌唱である。
様様な録音のある中で、独特の様式感を感じる演奏だった。往年のオペラ劇場で喝さいを浴びるプリマドンナやウォーモの演奏はきっとこうだったのだろうとしばし陶酔の世界に浸ることができる面白い演奏だ。