Conductor William Christie on The Fairy Queen, Glyndebourne 2009 from Glyndebourne on Vimeo.
オペラは観るものですけれども、パーセルの妖精の女王は聴いているだけでは面白みの半減するものです。シェークスピアの「夏の夜の夢」に音楽を添えたものでオペラ史にも残る知られたオペラで、歌われる歌詞も英語で耳に親しみやすそうだからと思って観るときっと違和感を感じられるはずです。
「誰も寝てはならぬ」など、数年ごとにオペラのアリアがポピュラーの売り上げに迫るようなヒットがあってオペラの音楽は堂々としていて激情的に歌い繰り広げられるスペクタクルだと思っているとさにあらず。あるいは、オペラを観る前にCDで聴いてビブラートを押さえた耳に心地いいと思っていてもきっと裏切られることでしょう。
パーセルの妖精の女王は、音楽劇と訳されることもあるセミ・オペラというカテゴリーになります。
CDなどには説明書きをしっかりと読みと、この場面はセリフだけで進行しますから録音されていませんと書かれているものがあります。これはとても親切な解説です。モーツァルトの「イドメネオ」や「シピオーネの夢」などもオペラとはなっていてもその実は牧歌劇だったりします。セリフだけの場面はカットされて、レコードとして発売する時に枚数を抑えるために良く行われています。
パーセルの妖精の女王も全曲を録音してあるCDは、とても少なくて音楽を聴いただけでは話しの終わりが分からないものがあるんです。物語は芝居とパントマイムで進みます。歌はその添え物で、普通のオペラのように歌手がクローズアップされることは多くありません。バレーや舞台装置、演出効果の方が主役だと言えそうです。 NHK BS2で今朝放送されたグラインドボーン・オペラ祭で上演された、妖精の女王でもNHKの放送では3時間という長い放送時間でありながらも、本筋とは重要な関わりのない部分もあってセリフのやりとりを楽しむよりも字幕解説で済ませるだけで、あちこちがカットされて放送されてしまっていました。 そのような「妖精の女王」ですが、シェークスピアの原作はなじみのあるものなので演出の自由度も高くて、舞台装置や演出効果はとても美しい。
聴くオペラではなくて、観るオペラです。
歌劇「妖精の女王」(全5幕) ヘンリー・パーセル作曲
【出演】
ミリアム・アラン
ルーシー・クロウ
クレア・デボノ
アンナ・デヴィン
ヘレン・ジェーン・ハウェルズ
レイチェル・レッドモンド
キャロリン・サンプソン
ロバート・バート
ショーン・クレイトン
エド・ライオン
エードリアン・ウォード
ルーカス・カーグル
ジョン・マッケンジー
デズモンド・バリット
アンドルー・フォスター・ウィリアムズ
ジョゼフ・ミルソン
サリー・デクスター
ジョサム・アナン
スザンナ・ワイズ
オリヴァー・キーラン・ジョーンズ
ヘレン・ブラッドバリー
オリヴァー・ル・シュアー
テレンス・ハーディマン
デズモンド・バリット
(合唱)グラインドボーン合唱団
(管弦楽)エイジ・オブ・エンライトンメント管弦楽団
(指揮)ウィリアム・クリスティ
(2009年7月17日、19日)
~イギリス・グラインドボーン音楽祭歌劇場で録画~
【演出】ジョナサン・ケント
【振付】キム・ブランドストラップ
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