携帯電話が指揮者のポケットから登場した2006年のニューイヤーコンサート、マリス・ヤンソンスさんが新年のウィーン・フィルの指揮台に再び立ってくれることになりました。昨年のフランツ・ウェルザー=メストさんの後を受けて、指揮者の違いによるシュトラウスの味わいの変化を楽しむニューイヤーコンサートに成りました。この数年、ウィーン・フィルとの所縁はあるものの面白いと思わせるぐらいの顔合わせで、往年の指揮者が入れ替わり立ち替わり。長いウィーン・フィルのニューイヤーコンサートを楽しんできたファンにとっては、ウェルザー=メスト時代になるのかという期待感はあったと思います。
2012-01-01
2011-12-30
オペラ初心者のための《トリスタンとイゾルデ》 - NHK-FM《バイロイト音楽祭2011》最終日
タンホイザーで開幕した2011年のバイロイト音楽祭は、楽劇《トリスタンとイゾルデ》で閉幕しました。今週のNHK-FM《バイロイト音楽祭2011》の放送も、今夜の《トリスタンとイゾルデ》が最後となりました。昨日の《パルジファル》を聞き終えて、あぁ、年越しだなぁと感慨にふけって今夜の放送を忘れるところでした。
楽劇《トリスタンとイゾルデ》の舞台はコーンウォルでドイツではないのですが、惚れ薬を飲んでしまって国王に貢ぎ物として連れてきた姫に恋心を抱いてしまい、敵前逃亡ならぬ帰国直前に姫と逃避行してしまったトリスタンという騎士の悲しい物語。国王の側近に負わされた傷がもとで、最後は死んでしまうのですが幻夢の中で姫に再会する演出や、実際に姫が到着した時には既にトリスタンは事切れていた。と《ロミオとジュリエット》みたいな解釈が様々で、また、初心者でもいろいろ想像できるのが人気の理由でしょう。
歌舞伎などにも翻案しやすいですね。
2011-12-29
養老孟司氏の言葉のように『すでにやってしまった以上は、その結果が良い方に向かう様に後の人生を動かすしかない。』
養老孟司氏の言葉のように『すでにやってしまった以上は、その結果が良い方に向かう様に後の人生を動かすしかない。』
NHK-FMの《バイロイト音楽祭2011》4日目は舞台神聖祭典劇《パルジファル》。結婚し損ねた白鳥の騎士《ローエングリン》のお父さん、《パルジファル》も子供の時に飛んだドジをしでかしている。でも、ローエングリンが『聖杯グラールの物語』で朗々と父を賛美し、ここぞとばかり自分の出自を誇示して自分を馬の骨呼ばわりした民衆にいひゅ返しをしている。
2011-12-28
バイロイト音楽祭の上演でだけ、聴く機会のある楽器は何でしょうか? - NHK-FM《バイロイト音楽祭2011》でロマン的歌劇《ローエングリン》放送
楽器にも名前を残したワーグナー。金管楽器の中で最も大きいワーグナー・チューバがそれで、ワーグナーよりも前の時代の作曲家であるベルリオーズの管弦楽曲でも、現在では使われているという不思議に出会う。
重低音と言えばパイプオルガンだけど、オルガンを備えたオペラ劇場はあるのか無いのか。重低音が出ていることでオーディオファイルが好きな録音に指折る、ショルティが録音した《ラインの黄金》は冒頭の重低音は実際は楽器の音ではなかったりします。
2011-12-27
のど自慢の賞品は、親方の美しいお嬢さん - NHK-FM特集《バイロイト音楽祭》第2日、歌劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》放送
歌劇《タンホイザー》・・・ワーグナーは《トリスタンとイゾルデ》を作曲する時に《楽劇》と作品を称しました。歌劇、番号付きオペラとも言うのですが、序曲、アリア、重唱とそれぞれが一曲毎に完結していて『第何幕の何番のアリア』と言われることが普通です。『交響曲第何番の何楽章』と言った感じと言えばわかりやすいでしょうか。
歌劇《タンホイザー》には、後の楽劇への種が芽生えていて《パリ版》では序曲と第1幕冒頭のバレエ音楽が繋がるように作り替えられています。初演の《ドレスデン版》の他にも複数のバージョンが存在する、いかにも当時の"歌劇事情"を感じさせます。
ワーグナーとしては状況に応じてスタイルが変わってしまうのを嫌で、楽劇と云った独自の方式をとるようになったのでしょうかね。
2011-12-26
タンホイザー・レストラン - NHK-FM特集《バイロイト音楽祭》第1日、歌劇《タンホイザー》放送
苦虫を噛みつぶしたような表情で、庭の隅から見つめているワーグナーに出会いそうだ。もとより、総合芸術とオペラを位置づけたワーグナー。台詞と演技と歌唱を一体化させるために、メロディーラインでなくライトモチーフとして台詞のように歌い演じる。その理想の上演の場としてバイロイト祝祭歌劇場を造り、夏の間だけ、しかも上演される作品はワーグナー自身の歌劇とベートーヴェンの《第9交響曲》だけと定めた音楽祭を開いた。
数年前に運営の権利は公共のものとなったけれども、上演に関しての一切はワーグナーのひ孫たちが取り仕切っています。
さて、苦虫を噛みつぶしている。だろうなと思うのは、近頃の新演出にはブーイングが必ずつくことです。衛星回線を使った生中継も行われるようになりましたけれども、NHK交響楽団の定期演奏会も同様に映像を含めた放送は初日の上演では行われない。
2011-12-03
我らの知恵に明かりを灯し、 愛で我らの心を満たしたまえ。宇宙全体が音をたてて鳴り響き始める音楽。 - マーラー没後100年 N響コンサート 午後6時から
宇宙全体が音をたてて鳴り響き始めるのを想像してください・・・指揮者メンゲルベルクに宛てたマーラーの手紙にある《一千人の交響曲》についての有名な言葉です。「内容においても形式においても他の作品とはすべてが異なっている」とマーラー自身が曲を解説しているように、破格の規模の交響曲。演奏会では通常のステージに納まらなくて、オペラの上演の時の様に客席全面に張り出すようにオーケストラや合唱団が並びます。
バンダと呼ばれる、ステージ上のオーケストラ以外に別働隊も居たり、それがライヴの醍醐味。今夜、午後6時からNHK交響楽団の定期演奏会がNHK-FMで生中継されます。
2011-11-26
《今夜聴くべきクラシック・ライヴ》黄金の糸で装飾されたような《交響曲第4番》、初演はちょうど100年前。NHK交響楽団定期演奏会 マーラー没後100年記念コンサートは午後6時から
マーラー没後100年に、N響が記念コンサートに選んだのは《交響曲第4番》。マーラーの『天上の歌』として、明るく叙情的な交響曲です。いつもの大きな管弦楽でなく、終楽章に一人のソプラノが加わって短い歌を歌います。
うれしい愉しい天上の国
浮世のことは忘れよう
天の国には
地上の騒ぎはとどかない!
どこもかしこも平穏そのもの!
天使のような暮しぶり!
とはいえ、まことに浮きうきわくわく!
歌って踊って
跳んでははねて!
ペーテロさまが見ておわす!
男は愛せよ、女は愛されよ。若者も年寄りもキスをしよう。すべての命を愛そう。と、歌うベートーヴェンの『第九』に通じるようではありませんか。
2011-11-23
今日は一日“名曲アルバム”三昧
コンスタンツェは悪妻だとは言われましたが、モーツァルトの死後つきあった男性達の働きもあってモーツァルトの楽譜が散逸しないようにしたのですから良妻ではないでしょうか。
勤労感謝の日である、今日は自分の仕事を振り返りたくも成りました。
2011-11-06
雨上がりの雲間からの光 - バッハ:《マタイ受難曲》、ラーデマン指揮コンチェルト・ケルンによるベルリン・フィルでのライヴ。
2011-10-10
プログレを聞きながら小説は書けるのか - 今日は一日プログレ三昧 午後8時前からデイヴ・シンクレア・ライヴ生ステージです。
今日は一日プログレ三昧。夕べはBSフジでエマーソン、レイク&パーマーの結成30周年だか40周年だかのライヴを観ました。何かのフェスティヴァルのクロージングだったようで、前のバンドのステージが長引いてしまったので、セッティングをしたら1時間30分のステージ予定だったのに1時間半で切り上げなくてはいけない大番狂わせがあったそうです。
その凝縮した熱気の余波で、ピンク・フロイドの“ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン”のUSハーベスト盤を聞いた後、エマーソン、レイク&パーマーの“展覧会の絵”をこちらはカナダ盤でしたが、アナログLPを準備してたら朝になりました。
今日のNHK-FMは午後0時15分から、「今日は一日プログレ三昧再び」をオン・エア。森田美由紀アナウンサーのプログレ初体験は「ナッツ・ロッカー」だったと聞いて嬉しくなりました。
2011-10-02
おすすめクラシック - NHK-FM「海外コンサート〜ロジェストヴェンスキーの芸術」 - 2011-10-02
背の高いマエストロではありませんが、あえて指揮台を使うことなくエンターテインメントぶりを楽しませてくれるのがゲンナジ・ロジェストヴェンスキー。それは演奏姿、分厚いオーケストレーションに埋もれそうなパッセージを気の利いた聞かせ方をしてくれることで馴染んだ曲さえ新鮮に感じさせてくれます。今日の午後の「海外コンサート」。ロジェストヴェンスキーの80歳を祝った演奏会から4月11日と16日の演奏会からの選曲です。
2011-09-24
二日連続“今日は一日“浜松アーカイブス”三昧” - 軽音楽編の全曲目 2011/9/23
浜松アーカイブス三昧も3年目。クラシック編を放送している今日、土曜日。日程的にすべてを聞く機会がありませんでしたけれども金曜日に放送となった「軽音楽編」に続いて忘れずに楽しんでいます。
放送されたレコードはすべてアナログレコード。SP盤、EP盤、LP盤の違いはあれレコード針をおとしてアンプを通して聴くものです。ですからデジタルのデータをストレートに電波に乗せるのと違って・・・CDが普及しだしていた初期は、それでもいったんアンプで復元された音でした・・・カートリッジ、アンプの色が加味された音になっています。
2011-09-18
おすすめのクラシック - 海外オペラアワー - ウィーン・フィルの“女はみんなこうしたもの” NHK-FM 2011/9/18
コシ・ファン・トゥッテ、女はみんなこうしたもの或いは恋人たちの学校・・・これがモーツァルトの楽譜に記載されているオペラのタイトル。午後2時からNHK-FMで、今年1月にウィーンで行われた話題の演奏が放送されています。
9月18日(日)の『サンデークラシックワイド』は、ウィーン国立歌劇場の2010-2011シーズンから、モーツァルトの歌劇「女はみんなこうしたもの」(コシ・ファン・トゥッテ)をお送りします。
指揮のジェレミー・ロレールは、1973年パリ生まれの若手指揮者で、クリスティやミンコフスキに師事した経歴の持ち主。最近では、ピリオド楽器オーケストラであるル・セルクル・ド・ラルモニを率いて、ナントのラ・フォル・ジュルネ音楽祭などで活躍、日本にもたびたび来日しています。
今回の公演は、彼のウィーン国立歌劇場デビューで、ピリオド・アプローチを取り入れたテンポの良い解釈で、ウィーンの聴衆たちからも好評を得ました。歌手陣も充実しており、女声陣はそれぞれ揺れ動く女心を巧みに表現、男声陣も事態の展開に狼狽する役どころをコミカルに演じて、アンサンブル・オペラとしての魅力を引き出しています。どうぞお楽しみに!【案内】石井宏(音楽評論家)
via nhk.or.jp
- 海外オペラアワー - ▽ウィーン国立歌劇場の歌劇“女はみんなこうしたもの” 「歌劇“女はみんなこうしたもの”K.588」モーツァルト作曲
(第1幕:1時間30分40秒)
(第2幕:1時間30分30秒)
フィオルディリージ…(ソプラノ)キャロライン・ウェンボーン
ドラベルラ…(メゾ・ソプラノ)ステファニー・ハウツィール
グリエルモ…(バリトン)イルデブラント・ダルカンジェロ
フェランド…(テノール)トピ・レーティプー
デスピーナ…(ソプラノ)アニタ・ハルティヒ
ドン・アルフォンソ…(バス)アレッサンドロ・コルベルリ
(合唱)ウィーン国立歌劇場合唱団
(管弦楽)ウィーン国立歌劇場管弦楽団
(指揮)ジェレミー・ロレール
~オーストリア・ウィーン国立歌劇場で収録~
<2011/1/22>
(オーストリア放送協会提供)
2011-09-16
今夜のおすすめクラシック・ライヴ NHK-FMで第1707回NHK交響楽団定期公演生放送
最も心に残ったソリスト・・・と選出されているレイフ・オヴェ・アンスネスとのラフマニノフの《ピアノ協奏曲第3番》が注目。またまた、心に残る共演になるのではないでしょうか。そうして、後半のチャイコフスキー:交響曲第5番も聞き逃せない。シューベルトや北欧作曲家の交響作品でずば抜けた透明美を聴かせてくれるブロムシュテットさんのチャイコフスキーは珍しい選曲。前半のラフマニノフに対しての配慮なのか、きっと思いがけない対比の妙を聴かせてくれる事でしょう。
- 第1707回N響定期公演 - 「ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 作品30」 ラフマニノフ作曲
(ピアノ)レイフ・オヴェ・アンスネス 「交響曲 第5番 ホ短調 作品64」 チャイコフスキー作曲 (管弦楽)NHK交響楽団
(指揮)ヘルベルト・ブロムシュテット
~NHKホールから中継~
2011-09-12
古楽のたのしみ バッハの音楽(1)奏者には厳しく聴く者にはこの上ない穏やかな時間をもたらすバッハ珠玉の《トリオ・ソナタ》 - NHK-FM 2011-09-12
秋本番。熊本の午後いっぱいは、まだまだ気持ちがだらけるように気温が高かった日曜日。デスクワークも遅々と進まなかったものの、夕方過ぎて涼しく過ごしやすくなりました。もう、朝6時だというのに外はやや白々とし始めようとしています。カラスが遠くで朝の挨拶を交わしているけれども、秋の虫が賑やか。今夜は中秋の名月。
古楽の楽しみ -バッハの音楽-(1)
三本の音の線で彩なす鍵盤楽器の為のバッハの音楽としては3声のインヴェンションがありますが、バッハがケイテンでトリオ・ソナタの着想を得た時はまだ2つの管楽器で演奏するスタイルでした。それはライプチヒで更に高度なものとなります。オルガンで演奏される事でチェンバロ、ピアノでの演奏とは違って3つの音がきりりと描き出される魅力があります。作曲の動気は長男フリーデマンの音楽教育の為でした。故にバッハの作品群の中でも『トリオ・ソナタ』は奏者にとっては難関となっていますが、聞く分には親しみを感じるものです。
2011-09-04
東京JAZZ2011をインターネットで聴こう!! NHK-FMで放送中。「らじる★らじる」でMacでも聴く事が出来ます。
NHK-FMもインターネット・ラジオで聴けるようになりました。まるで今日放送中の「東京 Jazz 2011」に設えたような印象です。311の東日本大震災で試みのあったNHKラジオ、テレビのインターネットでの配信。それが良かったのか、既に準備段階であったのか。どちらかはともかく対応が早いというのは急ごしらえの対策とは思えません。9月1日から、NHK第1、第2、そしてNHK-FMが「らじる★らじる」としてインターネットで聴くことが出来るようになりました。10月にはスマートフォン対応アプリも準備中という事です。
東京Jazz2011は、午後11時までライヴと収録で放送中です。 http://www.tokyo-jazz.com/
2011-08-14
今夜観るべきクラシック名作オペラ - 存在するすべての音楽のうち最もロマンティックな恩寵にあふれた《ローエングリン》 バイロイト音楽祭2011がBSプレミアムで生中継
夏はバイロイト音楽祭。今夜、10時10分からBSプレミアムで「バイロイト音楽祭2011 ローエングリン」が生中継。インターネット配信も行われているけれども、今夜は日本からのネットからのアクセスはチケットがなかなか売れ行き悪いんじゃないかな。それともインターネットどっぷりの人はテレビを所有していない?
ロマンティック・オペラの幕開きとなった歌劇《ローエングリン》は中世の白鳥の騎士と暗黒の魔法使いのお話。ワーグナーが38歳の時の作品で、とある統計にある名曲は30歳代に創造される(山下達郎さんも何かのインタビューで引用されていました)。と云われるように後年の《指環》のような練り上げられたところは無いけれども気持ちの良いオペラで大好きです。
とことんやはり本物が聞きたくなるビートル・ソングス三昧 - NHK-FM で午前10時から午前1時まで14時間の長時間放送
カヴァーはオリジナルに迫るほど聴き込んで写し取ったようなコピーではない。それを楽しむ様でもいけない。オリジナル演奏者を超える演奏をするものではなくて、それがただ1回、初めて聞いただけで何かを感じて自分なりに演奏、録音してみたって言うプレイにこそオリジナリティを感じられるものです。歌い手自身が出ている。それがカヴァーではないかしら。元の歌い手の歌声がオーヴァーラップの様に聴こえてくるようではおもしろくない。
NHK-FMは、今日は一日“ビートルズカバーソング三昧”。それも“とことんやはり本物が聞きたくなるビートルズ・ソングス三昧”だ。本物を超えているようなカヴァーは、これまでにも時折放送されてきましたね。ビートルズの方がやはりすてきな演奏をしていると思わせるカヴァーを、アルバム収録曲と照らし合わせてのプログラム。午前1時までの長時間放送です。