ウルトラセブンの最終回、モロボシ・ダンがアンヌ隊員に告白するシーンはとても印象的。毎回新鮮な試みを重ねてきた子ども向けの特撮ヒーロー番組の、最後に来てタブーぎりぎりの衝撃を残して投げ逃げという感じですね。わたしは男と女のラブ・シーンとして、好きな1幕です。
昨年BS11で全話再放映された時にキチンと観ることが出来たんですけど、意外とあっさりとしていて幼いことに観た時は永遠のシーンのような記憶でした。もう少し長い時間「ピアノ協奏曲」が使われていたように錯覚していました。
ただ、長くても1分から2分の使用なのですけれどウルトラセブンのオリジナル曲と交互に使用されていて最後はオリジナルのメロディーで締めくくられています。
ウルトラセブンの最終回で印象的なイントロを使用されているクラシック曲は、シューマン作曲 ピアノ協奏曲 イ短調。これの第1楽章。15分ほど音楽をとても適切に抜粋されていました。最終回を想定した上でシリーズを用意することは作品を印象深くさせることが出来るようです。ゴルゴ13の最終回は、最初の頃に完成していて金庫に納められているそうですね、ウルトラセブンも告白のラストシーンは最初から決められていたのかも知れない。
当初から予定の話数だったのか、作曲が間に合わなかったのかは分からないけれども作曲の冬木透さんに「シューマンのピアノ協奏曲」のような音楽をと頼まれたとか、そのような裏話。聞いたことがあります。
製作予算の都合もあって実際に「シューマンのピアノ協奏曲」のような音楽は録音されることもなかった。そして、スタッフが持っていたレコードが使用されています。当時リパッティとカラヤンの取り合わせで録音したレコードとして世界中で良く売れたレコードがそれでした。
ウルトラセブンの告白シーンの衝撃に、たったの1音で効果を上げた演奏で感じられる通りにまもなく若くして亡くなるリパッティの命を削る1音1音を若きカラヤンが見事にサポートしています。録音はモノーラルながら、中古盤の市場回転率は良くて枚数が多く現存していますから音質の状態が良いレコードが多いことはうれしいものです。