2011-10-13

深い結びつきのカラヤンとチャイコフスキー、豪快で緻密な《交響曲第4番》評価:★★★★☆

2011-10-13 0

豪快で男性的なチャイコフスキーを、1972年のカラヤン、ベルリン・フィルは聴かせてくれる。しかし野趣ではなくて、しなやかでスタイリッシュ。軟弱なチャイコフスキーが最近は増えてきているように、このレコードを聞くと感じます。同時代のアメリカの指揮者、オーケストラのチャイコフスキーは優れていて、ロシア音楽はそうした響きだと思い込んでいたのを知らされるほど。

Asd2814

レコード芸術推薦、レコード・アカデミー賞、朝日試聴室推薦

  • レーベル: 英 EMI
  • レコード番号: ASD2814
  • オリジナリティ: モノクロ切手ラベル、1stラベル

曲目

 

演奏

  • 指揮: ヘルベルト・フォン・カラヤン
  • 管弦楽: ベルリン・フィル

1971年録音。歴代の作曲家の中でも稀代のメロディメーカー、チャイコフスキー。 その演奏を極意を示したのがカラヤンです。 チャイコフスキーの演奏で陥りがちな甘美なメロディだけに酔うような演奏ではなく、 各楽器の動きを丁寧に描ききった、構築美満点の名演です。

  • 録音年月日:1971年9月16~21日
  • 録音場所:イエス・キリスト教会、ダーレム
  • 録音:ステレオ/クォドラフォニック

2011-09-14

(英)DECCA SXL-6538 スモール・ラベル ブリテン指揮ECO モーツァルト:交響曲 No.38《プラハ》、シューベルト:交響曲 No.8《未完成》

2011-09-14 0

♬1972年録音。両曲共に歌心にあふれた流麗な演奏ですが、《未完成》の1楽章の終わりに見せる一瞬の暗い表情が音楽の深みを見せます。名演といえるでしょう。
録音はマイルドな音質で厚みもあり、弦楽部は特にしなやかな優秀録音です。

UK DECCA SXL6538 - BENJAMIN BRITTEN : MOZART PRAGUE

 

【交響曲】

  • レーベル: 英 DECCA
  • レコード番号: SXL-6538
  • オリジナリティ: スモール・ラベル、1stラベル

(英)EMI ASD2814 モノクロ切手ラベル ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィル、チャイコフスキー:交響曲 No.4

♬1972年録音。数多いカラヤンのこの曲の中でも最も勢いと迫力に満ちた演奏で、発売当時一発録りではないかと噂されたものです。この時、5番、6番も同時に録音しているので、その可能性は有ると思いますが。この時期のDGでのカラヤンの録音は低域の薄いものが多く見られますが、流石にEMIの録音は良い低域から高域までバランスの良いもので鮮明な音質です。

UK EMI ASD2814 KARAJAN - TCHAIKOVSKY SYMPHONY No.4

 

【交響曲】

  • レーベル: 英 EMI
  • レコード番号: ASD2814
  • オリジナリティ: モノクロ切手ラベル、1stラベル

2010-11-23

CD Review : フラワームーヴメント世代のためのイージーリスニング James Last - Beach Party 3 [1972]

2010-11-23 0

昨今では話題を聞く事のないイージー・リスニング音楽。ムードミュージック、BGMと称していたのが最早20年は昔。現在では「インストゥルメンタル」というジャンルになっていて、イージー・リスニングはもっと広い幅を持っているようですね。ジェームス・ラストは、ポール・モーリア以上に音楽ムーヴメントの動向に敏感な音楽家だったと、今更ながらに驚いています。この「Beach Party 3」は全12曲がコーラスを伴っています。リリースは1972年ですが、日本では紹介されたのか疑問です。日本発売があったとしても、喜ばれなかったレコードになったのではないかと思います。

ウッドストック世代、或いは、フラワームーヴメントのロックが好きなリスナーには喜んで貰える内容です。例えば4曲目の「Wimoweh」は、ロックの名曲「ライオンは寝ている」の原曲(?)です。本当は原曲ではないけど、ベースになったメロディーで言うなれば、バッハのピアノ曲にメロディーを着けた「グノーのアヴェ・マリア」のようなものです。

ジェームス・ラストの録音が、今年の後半は色々と聴いた事がなかったリリースを楽しむ機会が増えています。思いがけない新鮮な感動を聴く事が出来て、改めて優秀な音楽家だったと実感。当時はどたばたとした印象で、フランク・プールセル派だったわたしにとっては、その楽しさに気がつけないでいたようです。

録音は当時の標準。決して良い音質ではないですが、音楽は再録音したらいいと思えるほど古びた印象はありません。アーティスティックは★★★★をつけたいところですが、音質の不満もあって評価は★★。

James Last - Beach Party 3

  1. Banks Of The Ohio
  2. Holly Holy
  3. Get Ready
  4. Wimoweh
  5. Put Your Hand
  6. Swing Low Sweet Chariot
  7. Song Sung Blue
  8. Jesus Christ
  9. How Do You Do
  10. Amazing Grace
  11. Poppa Joe
  12. Wedding Song (There Is Love)

2010-10-30

狼は天使の匂い LA COURSE DU LIEVRE A TRAVERS LES CHAMPS ...AND HOPE TO DIE

2010-10-30 0

暗い金曜日。という本が原作。映画「狼は天使の匂い」は1972年の仏映画で、日本では1974年に劇場公開されました。ギャングを働くために集まった男たちと2人の女性の物語だけれども、原作付きだというところがトーンを抑えたドラマ展開になっているのかも知れません。洋画を見るようになった小学高学年の頃から抱いていた印象が、原作を元にした映画作品は展開がもそもそとしてて、見入っていると身体がほてってくる感じがするってこと。

音楽はフランシス・レイ。テーマ曲はすぐに浮かんでこない印象に薄いけれども、聴けばジンと胸を打ちます。フランシス・レイの音楽のような映画音楽を感じられなくなって、久しい。日本映画にも随分と影響を与えていたようだけれども、DNAは何処かに眠っているのかなぁ。映画の音楽にポップスやロックが使われるようになってから、いわゆる「映画音楽」というジャンルは身を細めてしまっているように感じます。わたしは今でもロマンティックな映画を観る時には、フランシス・レイの音楽のゴーストを追っています。。

 

2010-09-10

【CD REVIEW】サイモン&ガーファンクル、不運のオリジナル「グレイテスト・ヒッツ」。

2010-09-10 0

名作「明日に架ける橋( Bridge Over Troubled Water )」を録音している最中に、ポール・サイモンとアート・ガーファンクルの音楽に対する意見の食い違いが表面化して、、、と Wikipedia には記載(2010年9月10日現在)がありますけれども、アートの映画出演が盛んになって録音のスケジュールが思うように運ばなくなったことが解散(と一言の表現では当てはまらないとは、わたしなりには思っていますけれども)という形で活動に終止符を打つことになりました。

小学生の時からの親友同士が音楽遊びをはじめることは至極普通なことで、生活レベルも悪くなかったと思います。トムとジェリーというバンド名で、ヘイ・スクール・ガールをレコーディング。サイモン&ガーファンクルとして活動しているときには学生時代の録音はLP化されてそれなりに評価を受けています。2年ほど前に扱ったことがありましたね。大学時代には音楽活動などしないでお互いの学校生活を楽しんでいたようだし、デビューアルバム「水曜の朝、午前3時」が不評でも気にかけないでポールは旅に出てるし、アートは大学院に戻っているしでレコード会社のプロデューサーがアコースティックギターだけで録音していたレコードにエレキ・ギター、ベース、ドラムスをオーヴァーダビングしてラジオ局にプロモーションしなかったならばふたりはミュージシャン生活を長年続けることになったのか・・・イタズラが招いたこととしか思えません。

オリジナルアルバムはわずかに5枚。1964年から70年にかけての活動としては当時としては少なすぎます。これではCBSとしても契約更新をしていたことかどうか分かりません。オリジナルアルバムに比べてコンパクト盤も含めればベストアルバムの数は倍以上。レコード発売契約のノルマを埋めていたのでしょうか。ライヴテイクがスタジオテイクの間に入っているのは、当時は目新しかったかも知れませんが曲数を埋める苦肉の策だったのかも知れません。

当時のLPレコードと言えば、13曲から14曲を収録するのはお約束でした。でも、5枚のアルバムで聴けるふたりのハーモニーはわたしたちにこの上のない楽しみとなったのですから嬉しい恵みです。

サイモン&ガーファンクル・グレイテスト・ヒッツ [Blu-spec CD]

「明日に架ける橋」が解散を告げるアルバムとなると、日本独自編集のベスト盤(2枚組)が直ぐに発売になりました。そして毎年ギフトシーズンになると「グレイテスト・ヒッツ」と銘打って曲順を変えたぐらいの内容で発売。USオリジナルのベスト盤であるこの「Simon and Garfunnkel's Greatest Hits(1972)」は不運にも日本編集盤の「グレイテスト・ヒッツII」と選曲、曲順共にまるっきり同じ。アメリカ盤の曲目がアナウンスされると日本で勝手に発売の段取りをつけたという物です。確かに当時は今と違ってビートルズを例にとると、英国で発売されて一ヶ月後にアメリカ盤が発売。それから半年から一年経って日本盤が発売されるという流れ。現在はデジタルデータが一斉に各国のプレス工場に配信されますが、当時はアメリカのマスターテープは国外に持ち出せない決まりでしたから、コピーのテープが船便や航空便で届いたりプレス用の原盤が届けられていました。

グループは解散してるし、同じ曲の音源はあるからサイモン&ガーファンクルがブームにあるうちに発売しちゃおうと言うことだったのでしょう。

★オリコン1位となったS&Gのアルバム★

日 付
期 間
タイトル
期間売上
71/01/18
1週
S&G ギフトパック (70年版)
7.3万枚
71/02/01
7週
明日に架ける橋
44.0万枚
71/07/12
18週
S&G グレーテストヒットII
35.6万枚
71/11/22
10週
S&G ギフトパック (71年版)
19.0万枚
(72/04/04)
(5週)
(ポール・サイモン)
(12.0万枚)
72/12/11
3週
S&G ギフトパック (72年版)
17.9万枚

MS-DATABASE「日本で1位に輝いた洋楽アルバム」より抜粋)

曲目:

  1. ミセス・ロビンソン
  2. エミリー・エミリー (ライブ)
  3. ボクサー
  4. 59番街橋の歌 (フィーリン・グルーヴィー) (ライブ)
  5. サウンド・オブ・サイレンス
  6. アイ・アム・ア・ロック
  7. スカボロー・フェア/詠唱
  8. 早く家へ帰りたい (ライブ)
  9. 明日に懸ける橋
  10. アメリカ
  11. キャシーの歌 (ライブ)
  12. コンドルは飛んで行く
  13. ブックエンド
  14. いとしのセシリア

アルバム1枚の流れはスムーズで一切のよどみが無くて素敵です。ライヴの拍手がスムーズに前後の曲に繋がっていますし音質のバランスは整っています。エミリー、キャシー、セシリアと女性の名前の曲目が目立っていますね。きっと、同じ名前の女性は熱狂したことでしょうしレコードは宝物になっていたのじゃないかしら。

レコード会社のプロデューサーが無断でエレキバージョンを作ったのはビートルズ人気にあやかろうと思ったのでしょうし、ビートルズとサイモン&ガーファンクルの似ている点はハーモニー(コーラス)・バンドであるところ、そして学生時代の友達同士であったり活動時期が1963年から70年で終焉を迎えているところなど良く似ています。取り立ててこの2つのグループだけのことではなかったとも考えています。

お友達同士で結成されてずっと不動のメンバーのグループ名という存在は、1970年を境にブランド名的な在り方に変わっていきました。ジェファーソン・エアプレインは飛行機からジェット機になったり、結成時のメンバーと現役のメンバーとで同じバンド名を名乗っていたりとか。バンド名だけが残って音楽性も異なっていったグループもありましたね。1970年という年は、ロック音楽にとっての大きなキーワードです。

Posted via email from Amadeus Record Guide

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