2010-06-26

ワルツ第13番 作品70第3 1829年作曲、1855年出版

2010-06-26 0

楽譜に献呈の名前はない。でも、ある女性のために作曲されたワルツです。作曲当時19歳のショパンはワルシャワ音楽院で一緒に学んでいたコンスタンツィア・グヴァドコフスカに恋していました。その想いは親友ティトゥスに手紙で打ち明けています。

「僕は悲しいかな、僕の理想を発見してしまったのだ。もうこの半年間というもの、毎晩のように彼女の夢を見ているが、まだ一度も口をきいていない。僕は心の中で彼女に忠実に仕えてきた。彼女のことを夢に見、彼女のことを想いながら僕はコンチェルトのアダージョを書いた。そして今朝、このワルツを書いた。君に送ろうと思う。この ワルツの中間部の左手の最高音に託した僕の思い、きっと君なら分かってくれると思う。」

これがコンスタンツィア本人に渡した手紙ではなくて、唯一の胸の内を打ち明けられる親友への手紙であることがショパンの純情を感じられていじらしい。このティトゥスはショパンより2歳年上、兄のような存在だったのでしょう。

曲はモデラートの速度表記。ゆっくりと散歩をしているような叙情詩的なワルツです。右手が2声になっているので弾きわけることが求められます。わたしたち聴き手としてはショパンとコンスタンツィアを聞き分けるようにしましょう。変ト長調の中間部の左手の音型は特徴的で左手の最高音の変ホ音には彼女を思う熱い思い、やるせない情熱が込められており静かな魂の叫びに聞こえてきて聴く人の胸を打ちます。女性を思う気持ちが最高の形で昇華された傑作だと思います。

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ワルツ第12番 作品70第2 1841年作曲 1855年出版

ピアノの音が小さすぎる・・・パリに出てきて行ったピアノ・リサイタルで、ホールでの演奏家としては致命的な評価をされたショパン。幼い頃から親しい人たちに囲まれて静かにピアノ演奏をすることが出来たショパンにとっては、ざわついた聴衆を引き寄せるような演奏は出来なかったことでしょう。

ショパンが好んだピアノも弱音が綺麗なピアノでした。マジョルカ島に持ち込んだプレイエル社の最新型のピアノは、アップライト・ピアノのようです。

ワルツ第12番はマジョルカ島からマルセイユのノアン館に戻ってきてから作曲した、叙情的なワルツ。ヘ短調で書かれているからでしょうか、ピアノ協奏曲の幸福な情景に似ています。ゆっくりしたテンポで、優美であでやかなワルツ。二部形式で、ヘ短調に戻らないまま変イ長調のまま終わります。後に来るものを待っているような感じで、聴き終わったあとに音符が中に残ったままになっているような感じを受ける曲です。楽譜はマリー・ドゥ・クルトナー嬢の他ピアノの弟子たちに献呈しています。

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ワルツ第11番 作品70第1 1832年作曲、1855年出版

死後6年経過してから出版された「3つのワルツ」。「別れのワルツ」を含んだ作品69と一緒に5曲の「ワルツ集」として出版しなかったのは何故だろう。

ワルツ第11番は、仔犬のワルツと並んで1分少々で唐突に終わってしまう短い曲です。ウィーンのプラーター公園で聴こえてきそうな、親しみやすさがあります。恐らくサロンで即興的に演奏した曲を忘れないうちにと書き留めたものではないかと思われています。

作品70の3曲は、

  1. ワルツ第11番 変ト長調 1832年作曲
  2. ワルツ第12番 ヘ短調 1841年作曲
  3. ワルツ第13番 変ニ長調 1829年作曲

寄せ集めのような感じはやむを得ずですが、3つのワルツで1曲という構成になっているように聴く事が出来ます。そう考えると、メランコリックな曲調の2曲を作品69として別に曲集としたいとも分かるようです。

 

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