2011-11-06

雨上がりの雲間からの光 - バッハ:《マタイ受難曲》、ラーデマン指揮コンチェルト・ケルンによるベルリン・フィルでのライヴ。

2011-11-06 0
雨が午前中に降っていました。ティータイムの午後3時、雲間から日が射して少しまぶしい。熊本の今日は、暦を観なければ11月とは思えない過ごし易さです。午後2時からのNHK-FM『サンデークラシックワイド - 海外コンサート』で、バッハの《マタイ受難曲》を聴いています。今年の4月22日に、コンチェルト・ケルンがベルリン・フィルで演奏したもののオン・エア。今年は、この日が聖金曜日だったのですね。

ベルリン・フィルでの演奏だけに、立体的な音空間を楽しめます。スタジオでのセッション録音、教会でのライヴ録音とはまた違って、劇的。

2011-03-27

《バロックの森》最終回は番組の歴史のエッセンス。エアチェックしておけば素敵な想い出になる。バロック音楽CD購入の手引きと言える名録音盤揃い。

2011-03-27 0

朝のすがすがしい一時を、バロック音楽と共にお過ごし下さい・・・と、NHK-FMで毎朝午前6時から放送してきた『バロックの森』が4年間を持って役目を終えます。今朝の日曜日の『リクエスト・ア・ラ・カルト』が最終回の放送になります。前任された男性アナウンサーは土曜日と日曜日を担当されていて、季節折々の話題も盛り込まれた番組運びが、わたしは大好きでした。リクエスト曲はそこそこに、お話だけは聞き逃さないようにしていたじきも2年間続いていました。後任された松川梨香さんの朝の番組らしい声は気持ち良いのですが、リクエスト曲の紹介程度のお話しで残念。リクエストもはがきではなくメールになったり、ホームページからできるようになって紹介できるほど無かったのかも知れませんね。

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2011-01-24

《バロックの森》フルートが活躍するバロック名曲①

2011-01-24 0

土曜、日曜日が『リクエスト・ア・ラ・カルト』で長い事続いてきたNHK-FMの『バロックの森』。平日のお勉強的な内容とのコントラストで、楽曲の詳しいお話しではなくて思い出話やナビゲーターさんの日常を伺わせる話は別な一面で面白かった。家庭菜園をされていたようで、朝に遊びに来る野鳥の話題など大好きでした。リクエスト・ア・ラ・カルトが日曜日だけになったのは、リスナーからのリクエストが減っているのか、昨日久し振りに日曜日の放送を聴いていたのですけれどもリスナーさんの思い出話なども少ないのでしょうか。

 

Singing Boy with a Flute by Frans Hals, 1623-1625 via backtoclassics.com

2011-01-22

《バロックの森》ルイ15世時代の音楽⑥ ヴァイオリンはダンスのための楽器

2011-01-22 0

天使がヴァイオリンらしきものを携えている古い絵画や彫像が、幾らもあります。『らしきもの』とされているように、よくよく観ると違うよう。そもそもヴァイオリンは、いつ頃どういう経緯で誕生したのでしょう。結論を先に答えるならば根拠不明。音楽史の上でヴァイオリンの名手にして、今でも演奏される機会の多い重要な作曲家はコレルリ。ヴァイオリン音楽を芸術音楽として最初に記録されます。もしもヴァイオリン音楽を発展させるヴィヴァルディの存在がなかったとしたら、現在の認識以上に誰もが知った作曲家の名前になっていた事でしょう。

楽器を手にしている絵画としては女神が抱いているハープが最も古いもの。総ての楽器の発展の源にはハープがあります。これも現代のようなメカニックを持ったハープではなく、竪琴。もとは猟のための弓を遊び半分だったのか、魔除けのマジナイかかき鳴らしていた行為が音楽の根本だというのが音楽史のお勉強には出てきます。

さてヴァイオリンですが、1,500年半ばに唐突に登場します。ほぼ現代のヴァイオリンの構造をしている事は驚きですけれども、その形状や大きさは多様性を極めていました。バロック・ヴァイオリンと言われる古い楽器を観ていると昆虫を観ているような錯覚を感じます。バッタに似ていませんか。葉っぱに擬態できるナナフシに似ています。

2011-01-21

《バロックの森》ルイ15世時代の音楽⑤ マレの音楽はロック以上にロックしている。

2011-01-21 0

楽器の博物館。或いは、古い楽器を鑑賞する機会があると長時間居ても飽きない。楽器の成り立ちと言っても笛の類は、土偶時代からって・・・こちらの方よりも、興味津々なのは弦楽器のはじまり。弦楽器のファミリーは現代ではヴァイオリンを中心に考えがちだけれども、チェロが最初のお父さん。それよりも大きいコントラバスとの中間の楽器でヴィオールという弦楽器が最初のはじまり。ジャズ・ファンだったらウッドベースをイメージして貰うと分かり易いです。

2011-01-20

[バロックの森]ルイ15世時代の音楽④ 聴き所は、ニケのダジャンクールの録音。

2011-01-20 0

響板がオリジナルであれば、製作当時のチェンバロです。・・・と言うイタリア紀行番組が先日NHKのBSで放送されていました。メカニックが当時そのままならオリジナルだと思えていたので、確かにそうだと発見になりました。チェンバロには螺鈿細工のものやら、意匠が凝らされているモデルが多いので気持ちはついつい造りの方に向いてしまいます。意匠と言えば白鍵に黒鍵がピアノ。チェンバロは黒鍵に白鍵のアクセント。稀にチェンバロにも白地に黒のモデルが存在します。これは黒檀や菩提樹に比べて、牛骨や象牙を加工するのが大変だった事もあるかも知れません。

2011-01-19

[バロックの森]最愛王ルイ15世の時代の音楽③

2011-01-19 0

宗教曲の月曜日、オーケストラの音楽の火曜日。そして、水曜日の今朝は劇音楽、歌劇の音楽に焦点を当てた「バロックの森 ルイ15世の時代の音楽」です。年代を追って音楽の全容を学ぶのは楽しい事ですけれども、ルイ15世の時代のフランスバロック音楽は多様を極めていました。劇音楽と言っても現代的な歌劇から、歌って踊るミュージカルやボードヴィル・・・歌詞のついたバレエ音楽と言った方が分かり易いでしょうか。

2011-01-17

[バロックの森]最愛王・ルイ15世時代の音楽 ①

2011-01-17 0

今週の「バロックの森 NHK-FM 2011年1月17日、月曜日 午前6時放送」は、最愛王と言われたルイ15世の音楽の一週間。昨年の11月の最終週にも関根敏子さんのご案内で聞きましたね。そのつづきというもので、ともかくもバロック音楽が最も華やかだった時代。フランスでの流行は、イタリア、ドイツ、イギリスに大きく影響しました。

《バロックの森》最愛王、ルイ15世の音楽 ①

2010-12-13

バロックの森 ヘンデルの音楽(1)

2010-12-13 0

夜半から降り始めて、熊本は雨で一週間の幕開けです。その為まだ7時を過ぎても暗いままです。何ともこういった天気だとクリスマス前という気分にはなりませんね。どうしたものでしょうか、わたしだけでしょうか?

さて、先週は「ドイツのクリスマス」音楽の特集だったNHK-FMの《バロックの森》ですが、今週は何処のクリスマスかと期待していたら『ヘンデルの音楽』の一週間でひと息といった感じです。来週が『フランスのクリスマス音楽』となっているようです。『イタリアのクリスマス音楽』や『イギリスのクリスマス音楽』も選曲に困るところはないと思うのですけれども、その二つを『ヘンデルの音楽』は総括できそうなところもありますね。

バロックの森 -ヘンデルの音楽-(1)

案内・今谷和徳

2010年12月13日月曜日、NHK-FMで放送。


- ヘンデルの音楽 -(1)

2010-12-08

バロックの森 -ドイツのクリスマス音楽-(3)❇CDレビューと評価

2010-12-08 0

本来は12月の日曜日に、1曲ずつ聴くカンタータをオラトリオという形にバッハが1つにしたのが「クリスマス・オラトリオ」です。さて、この連作カンタータの第3曲でいよいよイエス・キリストの誕生の奇跡が歌われます。クラシック音楽は、信仰との結びつきが深くてバッハはクリスマス・オラトリオに自身の信仰を反映しています。特に第3部の道行きシーンでの音楽は、実際にキリストの誕生に立ち会う場にバッハがいたらどういう思いだったろうといった真情を吐露しているかのようでバッハの素の姿が見えるように聴く事が出来ます。バッハの音楽で、ホロリとこうした感情が表に出ているところに気がつくとモーツァルトやショパンに感じる親しみを抱きやすくなると思います。全体は長い音楽ですがぜひこの部分は酔って下さい。そういう意味では今週の「バロックの森」の1番の聴き所となる1日ではないかしら。

バロックの森 -ドイツのクリスマス音楽-(3)

番組の案内は、礒山雅さんでNHK-FMで2010年12月8日水曜日、午前6時放送。


- ドイツのクリスマス音楽 -(3)

2010-12-07

バロックの森 -ドイツのクリスマス音楽-(2)❇CDレビューと評価

2010-12-07 0

今こそ声あげ、 よろこんで歌え。
みどりごイエスは 貧しいまぶねに
朝日のように 明るくかがやく。
アルファ、オメガ、永遠の主。

いと高き神の み子をほめ歌え。
恵みあふれる 幼子主イエスは
嘆き悲しむ われらをなぐさめ
主のみ国を 示される。

まことに大きな み父の恵みよ。
罪にまみれた われらをあわれみ
み子を遣わし 永遠の国へ
導かれる、神の愛。

喜びの歌は 天に鳴りひびく。
み使いたちも 聖徒たちも皆
歌う讃美に われらも声あげ
とこしえまで ほめ歌おう。

プレトリウスのコラール「甘き喜びのうちに In Dulti Jubilo 」は、今では上の歌詞で親しまれているクリスマス・キャロルをもとにしています。というか、ドイツに古くから伝わるキャロルをプレトリウスやハスラーが採譜して教会で歌われる音楽にしたことはバッハたちの音楽を仲介して今、わたし達が歌い楽しむことが出来るんですね。

バロックの森 -ドイツのクリスマス音楽-(2)

礒山雅さんの案内で、2010年12月7日火曜日、午前6時からNHK-FMで放送。


- ドイツのクリスマス音楽 -(2)

2010-12-06

バロックの森 -ドイツのクリスマス音楽-(1)❇CDレビューと評価

2010-12-06 0

街がクリスマス音楽でいっぱいになる季節。クリスマスを迎えると新年が終わるまでは、クラシック音楽の世界もクリスマスを題材にした楽曲やノエルで溢れます。いや、この期間はキリストの受難曲を聴くことは禁じられていますので、マタイ受難曲はクリスマス・イヴが来る前に楽しんでおいて下さい。例年のバロックの森だと、クリスマスの前後からクリスマス・オラトリオをプログラムに取り入れてきていましたが今年は随分早いスタートです。「ドイツのクリスマス音楽」と題されていますから、次週以降に南アメリカのバロック音楽も聴けると嬉しいですね。

一般的には意外に思われるかも知れませんが、南米はスペインが占領していた時代があるように随分と面白いバロック音楽があります。目立たないもののCDも毎月それなりに興味深いリリースがありますので、機会をつくって聴いてみてはいかがでしょうか。

2010-11-22

《バロックの森》最愛王、ルイ15世の音楽 ①

2010-11-22 0

瀉血治療を受けたことが死期を早めてしまったことが多かった、18世紀のヨーロッパ。モーツァルトも高熱を押して《レクイエム》作曲を薦めた時に、悪い血を抜くという処方でなくなりました・・・と、言うのが現代の死因です。推測ではなくて研究者の間では前提となっていることですけれども、一般的にはまだまだサリエリの暗殺説の方が面白いようです。

バロックの森 -ルイ15世時代の音楽-(1)

NHK-FM 2010年11月22日、月曜日午前6時放送

番組解説:関根敏子
- ルイ15世時代の音楽 -(1)

2010-10-11

バロックの森 -バッハ一族の音楽-(1)・・・バッハ、はじめました。

2010-10-11 0

今、ドイツにどれくらいの「バッハ」さんが居るのかは知りませんけれども、バッハが活躍した時代には300人のバッハ姓の音楽家が居ました。音楽家の中で宮廷に使えたのはそのうちどのくらいの割合かはともかく、子どもたちが総て音楽家として各地の王侯のもとで活躍しバッハ自身も、トーマス教会のカントルと・・・当時の音楽家として最高権威と言っても良い地位に就いたので数多くいるバッハ一族の中でも、“J.S.バッハ”として格段特別に置かれているわけです。

 

2010-09-20

バロックの森 -ヴィヴァルディの音楽-(1)

2010-09-20 0

ヴィヴァルディって何もの!!って思う向きには、今週の「バロックの森」のプログラムはもってこいです。月曜日から土曜日までの6日間で、ヴィヴァルディ検定(あったらの話しですけど、そのうち可能性もありそう)の初級クラスはマスターできます。20曲ほどが放送されますけれども、それぞれに使用されるCDも吟味されています。海外盤や、日本盤は廃盤になっているアイテムもありますけれども知られた演奏揃い。定盤と言ってLP時代の古い録音が少ないのも嬉しいですね。

バロックの森 -ヴィヴァルディの音楽-(1)

案内:今谷和徳 NHK-FM、2010年9月20日、月曜日 午前6時放送。
- ヴィヴァルディの音楽 -(1)

「トリオ・ソナタ ニ短調 作品1 第8 RV.64」
ヴィヴァルディ作曲
(9分24秒)
(バイオリン)エンリコ・ガッティ
(演奏)アンサンブル・アウロラ


放送されたCD:<Glossa GCD921203

 

「“調和の霊感"作品3から 協奏曲 第1番 ニ長調 RV.549」ヴィヴァルディ作曲
(8分04秒)
(演奏)エウローパ・ガランテ
(バイオリン、指揮)ファビオ・ビオンディ


放送されたCD:<Virgin Classics 7243 5 45315 2 1

「グロリア ニ長調 RV.589」 ヴィヴァルディ作曲
(27分52秒)
(ソプラノ)キャサリン・フーグ
(メゾ・ソプラノ)ルーシー・バラード
マーガレット・キャメロン
(アルト)エリナー・カーター
(合唱)モンテヴェルディ合唱団
(演奏)イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
(指揮)ジョン・エリオット・ガーディナー


放送されたCD:<Decca 462 597-2

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2010-09-18

バロックの森 -バッハの“フーガの技法”-

2010-09-18 0

金曜日のバロックの森のカンタータのあとで放送された《フーガの技法》の中核にあるのが、今朝の放送の《コントラプンクトゥス》。バッハの作曲技術の集大成で、音楽の凝縮度が高い音楽です。1940年頃から作曲に着手されました。1942年には最初の12曲が完成されていましたから、40年代後半には出版のめどが立っていたようです。自筆譜として残されている一冊の津刷りの初めの半分は浄書されたものと言われているほど綺麗な書体で書かれています。

バッハの構想では前半12曲とそれに答える12曲を組み合わせた24曲が予定されていたものと思われますが、19番のフーガ(第14コントラプンクトゥス)が未完となっています。自筆譜には、バッハの息子であるC・P・E・バッハによって、「作曲者は、"BACH"の名に基く新たな主題をこのフーガに挿入したところで死に至った("Über dieser Fuge, wo der Nahme B A C H im Contrasubject angebracht worden, ist der Verfasser gestorben.")」と記されています。バッハの頭の中では完成していたのでしょうかね? ショパンの練習曲集のように分冊で発表していたら鍵盤楽曲として印象の変わった受け止め方が出来たんじゃないかしら。《フーガの技法》には名盤とされるCDが幾つもありますけれども、標準的演奏であるとか決定盤というものはありませんから所有するしないは問題でなく多くの演奏に接することが宜しいと思います。

出版されている楽譜には、未完のフーガを補完する形で『あなたの玉座の前に今わたしは進む (独 Vor deinem Thron tret Ich hiermit)』 BWV 668aのコラール前奏曲が加えられています。バッハが亡くなる時に弟子に口述筆記させたと言うことです。ということは出版される楽譜としては推敲を繰り返しては居たもののバッハの意識の中では《フーガの技法》の全曲は鳴り響いていたのでしょうね。このコラールは未完の部分を分析するためのキーではなくて、“フーガの大家・バッハ”が生涯に残した音楽を白紙にしても後世に残したいと思った旋律だったのではないでしょうか。ロレンツォ・ギエルミのCDでも演奏されています。

バロックの森 -バッハの“フーガの技法”-

案内:礒山雅
- バッハの“フーガの技法" -

「フーガの技法 BWV1080から」 バッハ作曲

  • 対位法第1 (2分33秒)
  • 対位法第3 (2分45秒)
  • 対位法第5 (3分33秒)

「フーガの技法 BWV1080から」 バッハ作曲

  • 対位法第6 (4分20秒)
  • 対位法第7 (2分58秒)
  • 対位法第9 (2分50秒)

「フーガの技法 BWV1080から」 バッハ作曲

  • 対位法第11 (4分56秒)
  • 対位法第12 (2分03秒)
  • 対位法第12(倒立形) (2分01秒)
  • 対位法第13 (2分11秒)
  • 対位法第13(倒立形) (2分13秒)

「フーガの技法 BWV1080から 対位法第14」バッハ作曲
(8分28秒)

「コラール“あなたの玉座の前に今わたしは進む"
(バッハが弟子に口述したとされる作品)」バッハ作曲
(4分46秒)
(フラウト・トラヴェルソ)マルチェルロ・ガッティ

(チェンバロ、フォルテピアノ)ロレンツォ・ギエルミ
(演奏)イル・スオナル・パルランテ

消えた歌声 去勢したカストラートの歌声ってどんなものだったのかしら…バロックの森 -バッハの作品- お彼岸前に聴くカンタータ2曲
放送されたCD<Winter&Winter 910 153-2 > ※2009年6月9日発売

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2010-09-17

消えた歌声 去勢したカストラートの歌声ってどんなものだったのかしら…バロックの森 -バッハの作品- お彼岸前に聴くカンタータ2曲

2010-09-17 0

豊穣の海、バッハの音楽の大海を堪能するといっても適えられないことがあります。去勢しているカストラートの歌声が、それです。当時の教会では女性の演奏家は使えませんでした。教会での制限に限らず、モーツァルトが宮廷で活動をしている頃にも去勢した男性が女性役を歌っているのは当たり前のことでした。今では女性ソプラノが歌うのが通常で、当時は男性だったからとカウンターテノールや、ソプラニスタの歌声をカストラートをしのぶ手慰みとしています。

カウンターテノールは男性の高い声を聞かせることで、それよりも高い女声に近い声がソプラニスタとして世界で3人しかいないとかって話題にしていたりもしましたけれども、様はファルセット(裏声とは正確には同じではないようですけれど)で歌唱力が未熟とはいってもボーイ・ソプラノの方がわたしは好ましく感じています。本当のカストラートはどうだったのかと思いますけど、ソプラニスタには女的である印象があったりして苦手です。もしかしたら去勢に近い、男性器異常があるかも知れませんね。それとも、性欲の薄い男性は声が高いのかな。

楽器は古いものが見つかったら修復して演奏することが出来ますから、昔もこういう音色だったんだなって楽しむことが出来ますけど歌声、人の声は記録に残す他はないものですからカストラートの声って実際はどんなだったのでしょうね。

 

さて、バッハの時代。ドレスデンの宮廷にビンディというイタリア人カストラートがいました。1730年、45歳のバッハがビンディが歌うことを前提に作曲したのがカンタータ第51番“凱歌を挙げよ、神に、全地で”です。イタリアの音楽に憧れていたバッハがオペラのアリア風に書いた教会カンタータです。トランペットとコロラトゥーラが華やかに絡み合っています。中間部の抒情性は、敬虔さよりもロマンティックな歌と言っても良いほど。トランペットではなくてテノールだったとしたら、オペラのデュエットのようです。

聖書の言葉に当てはめて作曲したものがカンタータですから、バッハが楽しめるオペラを作曲できたかどうかは適えられない夢ですけれども、技法を駆使したオペラになっていたことでしょう。

 

カンタータ第138番“なぜ憂えるのか、私の心よ”の作曲は1723年。バッハの作品はあいうえお(アルファベット順)に目録になっていますので、番号と作曲された時代は前後しています。この曲は第51番と同じく“三位一体”のカンタータで、9月の第一日曜日からお彼岸(ヨーロッパの古い宗教は太陽の運航に従っていることがあって、秋分や冬至と言った節目が日本に近いです)前の日曜日の間に聴く音楽です。

 

フーガの技法は、バッハの最後の作品となった未完の音楽で演奏する楽器の指定がないことから謎が多くて、且つ、そこがジャズのプレイヤーも演奏したりする刺激の多い曲。技術的に極まれりという感じで親しみやすい音楽ではないですね。感性的に演奏をするジャズメンが興味を持つって面白いですよね。大抵CD2枚組なんですが、今日の放送で紹介された演奏は一枚物CDです。ロレンツォ・ギエルミはともにイタリア(ミラノ)で1738年(曲が着手される頃)に作られたチェンバロと、1749年(バッハが亡くなる頃)につくられたピアノフォルテを使って演奏。放送では全体から4曲が紹介されていますが、弦楽四重奏も交えていて未完のコントラプンクトはギエルミ自身が補完して演奏しています。2009年に発売されたばかりの最新の解釈による“フーガの技法”として楽しんでみてはいかがでしょうか。

バロックの森 -バッハの作品-
NHK-FM、2010年9月17日、金曜日。午前6時放送。
案内・礒山雅
- バッハの作品 -

「カンタータ 第51番“凱歌をあげよ、神に、全地で" BWV51」バッハ作曲
Jauchzet Gott in allen Landen!
(16分37秒)
(ソプラノ)マリン・ハルテリウス

「カンタータ 第138番“なぜ憂えるのか、私の心よ" BWV138」バッハ作曲
Warum betrübst du dich, mein Herz
(17分07秒)
(ソプラノ)マリン・ハルテリウス
(アルト、カウンター・テノール)ウィリアム・タワーズ
(テノール)ジェームズ・ギルクライスト
(バス)ピーター・ハーヴィー
(合唱)モンテヴェルディ合唱団

(演奏)イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
(指揮)ジョン・エリオット・ガーディナー

Soli Deo Gloria SDG104 ライブ録音 2000年 ブレーメン> ※2005年5月10日発売

 


「“フーガの技法"BWV1080から」 バッハ作曲

  • 8度のカノン (3分36秒)
  • 10度のカノン (2分21秒)
  • 12度のカノン (4分17秒)
  • 反行による拡大カノン (2分08秒)

(チェンバロ、フォルテピアノ)ロレンツォ・ギエルミ

Winter&Winter 910 153-2 > ※2009年6月9日発売

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2010-09-16

忘却からの復活劇:バロックの森 -グラウプナーの作品-

2010-09-16 0

忘却されていた音楽家の1人、グラウプナーの作品4曲がNHK-FM「バロックの森」で紹介されました。音楽史上においてはバッハがトーマス教会のカントルになる事を、とても強く推薦したことで名前が出てきます。クラシック音楽のとても大切なところでのキーパーソンになっていることだけでも素敵な名前の残し方をしたものだと思います。でも、何故? そんなにグラウプナーって影響力の強い存在の音楽家なの、って言うのが正直な思い・・・でした。

グラウプナーの音楽活動はJ.S.バッハのそれを覆う感じです。晩年がバッハ、ヘンデルと同じに失明していることまで同じです。やはり50年も毎日教会で演奏するための新曲をひたすら書き続けたことでの、目の酷使でしょう。

作った曲は2,000曲と多く、宗教曲が1,500曲ほど。でも、割合としてはバッハよりも楽器のための作品が多いほどです。これほどの作品が残っていながら忘れられていたとは驚きですね。人知れぬ作曲家ならともかくも、バッハを推薦するほどの知名度のあった作曲家であるのですから。

まあ、グラウプナーがバッハをトーマス教会のカントルに推薦するきっかけとなったのが、実のところはグラウプナー自身にカントルの仕事への誘いがあったことにあります。でも、グラウプナーを気に入っていた伯爵(ヘッセン=ダルムシュタット方伯エルンスト・ルートヴィヒ)が手放さないと譲らなかったからです。グラウプナーの死後、伯爵家が遺族に権利を譲らなかったことが忘れ去られる大きな原因なのですが膨大な作品が散逸を免れたのは“幸”なのか“不幸”なのか。

1970年になってバロック音楽のブームが到来、バッハやヴィヴァルディといったブーム以前から演奏されていて作品が改編されていたり、長年の手垢にまみれた音楽ではなくて作曲された当時の純然たる作品がないのだろうかという音楽家達が発見した作曲家がグラウプナーだったのでした。思いがけない大きな宝物を見つけた思いだったでしょうね。これからどしどし演奏、録音されていくことに期待しています。

数年前にモーツァルトの新曲が発見されたり、昭和40年頃まではショパンが見つかったりしていましたけれどもいずれも小曲。グラウプナーが一般的に親しまれるようになれば、クラシック音楽のレパートリーが一気に2,000曲増えることになるのですから嬉しいものです。

さて、日頃からクリストフ・グラウプナーと名乗ってファーストネームのヨハンは使わなかったといいます。何故だろう?バッハへの敬意かな?。ちなみにテレマンの友人でもありました。管弦楽曲が華やかなのは渋いバッハよりはテレマンを思わせますよ。

バロックの森 -グラウプナーの作品-
NHK-FM 2010年9月16日、木曜日 午前6時放送
案内…礒山雅
- グラウプナーの作品 -

「管弦楽組曲 ト長調」 グラウプナー作曲
(18分46秒)
(管弦楽)ダス・クライネ・コンツェルト
(指揮)ヘルマン・マックス


放送されたCD:<CPO 999 592-2

 

「歌劇“カルタゴ女王ディドー"から」 グラウプナー作曲

  • ディドーのアリア“不安な墓穴の牢獄にあって" (1分46秒)
  • ユノーのアリア“荒れ狂う復讐が雷の矢を作り出す" (1分26秒)
  • ディドーのアリア“裏切られた気高い女は"(5分17秒)

(ソプラノ)イングリット・シュミットヒューゼン
(演奏)レジデ・ウールーズ
(指揮)ジュヌヴィエーヴ・ソリー

※1707年、ドイツ・ハンブルグで作曲。

 

「ファゴット協奏曲 変ロ長調」 グラウプナー作曲
(11分31秒)
(ファゴット)マテュー・リュシエ
(演奏)レジデ・ウールーズ
(指揮)ジュヌヴィエーヴ・ソリー

※1731年、ドイツ・ダルムシュタットで作曲。GWV.340

 

「チェンバロとバイオリンのためのソナタ ト短調」
グラウプナー作曲
(7分46秒)
(チェンバロ)ドロテーア・ヴェンチューラ
(バイオリン)オリヴィエ・ブロー

※1740年、ドイツ・ダルムシュタットで作曲。GWV.711


放送されたCD:<Analekta AN2 2014

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Graupner /Geneviève Soly

¥1,200
iTunes
※モバイル非対応

Joh Christoph Graupner: In.../Geneviève Soly

¥1,500
iTunes
※モバイル非対応

2010-09-15

途絶えた英国音楽史:バロックの森 パーセルのメアリー女王の誕生日のためのオード

2010-09-15 0

ヘンリー・パーセルはイギリスのクラシック音楽史で唯一の存在です。その為に長老のような印象もありますが、36歳の若さでなくなっています。王室のオーケストラの常任指揮者となって世に出たのが弱冠18歳。短い生涯に400曲書き残しています。パーセルの活躍したエリザベス1世の朝廷はスポーツや娯楽が盛んな時代で、年中行事も多かったようなので作曲に演奏にといそがしいものだったでしょうね。ところがその繁栄が、音楽の発展のためにとイタリアから招いた音楽家に席巻されて音楽の世界はイタリア音楽一色になってしまってイギリスの作曲家がパーセル以降の音楽史に名前が出てこないものとなってしまいました。

海外のものがチヤホヤありがたがられるのは、坂本龍馬達の欧米への関心ぶりをみると同じだったんだと感じられますね。よくぞ日本の文化は残ったものだと思います。国土の占領よりも文化・・・心の占領はもっと怖いものです。アレグロとかピアノフォルテとか、ドレミファソラシドは総てイタリアからのもの。モーツァルト、ベートーヴェンの時代までオペラはイタリア語で聴くのが当然だった時代が続きます。クラシック音楽の世界では公用語と言って良いでしょう。英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語はヨーロッパ社会では嗜みだったのでしょうから、オペラはイタリア語で聴くものと定着してしまったのでしょうね。日本語の根強さは今でも、何でも日本語化してしまう強引さがありますね。

さて、パーセルの曲にはメアリー女王のための音楽が多くあります。エリザベス1世を名指ししないでも、メアリー女王を讃えることはエリザベス女王と、国歌を讃えることになっていたのです。オードとは称賛する歌、頌歌(しょうか)のことです。ロックでもドアーズのジム・モリソンが「グラスホッパーのオード」を「ジ・エンド」に引用していたりしますね。

バロックの森 -パーセルの“メアリー女王の誕生日のためのオード”-

NHK-FM 2010年9月15日、水曜日 午前6時放送 案内・礒山雅
- パーセルの“メアリー女王の誕生日のためのオード" -

「メアリー女王の誕生日のためのオード
“さあ、栄光の日がやってきた"」パーセル作曲
CELEBRATE THIS FESTIVAL - BIRTHDAY ODE FOR QUEEN MARY, 1693
(23分42秒)

  1. シンフォニー(序曲)
  2. 祝え、この祝日を
  3. さあブリテンよ、お前の心配事を紛らわすのだ
  4. 祝え、この祝日を
  5. この日は神聖な日、トランペットは鳴り止むように命じなさい
  6. 陰気な不和をほほえんで追いやらせよう
  7. 祭壇に冠をかぶせ、聖堂を飾り
  8. すべてに若々しい花で装われた
  9. 今まで悲嘆に暮れてきた四月は
  10. だからあなた方は去ってゆく四月が、こう言うのを聞くだろう
  11. このような国王夫妻をもっている
  12. 大儀のために武器をとっているのに
  13. 戻れ、愚かなミューズよ、戦争への思いは
  14. マリアの日を心から歓待せよ

(ソプラノ)エマ・カークビー
イヴリン・タブ
(カウンター・テノール)マイケル・チャンス
(テノール)イアン・ボストリッジ
(バス)スティーヴン・リチャードソン
サイモン・バーチャル
(合唱)ウェストミンスター大寺院聖歌隊
(管弦楽)ニュー・ロンドン・コンソート
(指揮)マーティン・ニアリー


<Sony classical SRCR9900> 放送で使われた日本盤CDは廃盤になっています。中古盤(輸入盤 Sony Classical SK66243 2001年4月26日発売) は入手可能です。

 

「メアリー女王の誕生日のためのオード
“来たれ、芸術の子ら"」パーセル作曲
(23分40秒)

  1. シンフォニー(序曲)
  2. 来たれ、芸術の子ら
  3. トランペットを吹き鳴らせ
  4. 来たれ、芸術の子ら
  5. ヴィオルを鳴らし
  6. これほどの祝福を与えたこの日は

(ソプラノ)エミリー・ヴァン・エヴェラ
(カウンター・テノール)ティモシー・ウィルソン
(テノール)ジョン・マーク・エインズリ
チャールズ・ダニエルズ
(バス)デーヴィッド・トマス
(合唱)タヴァナー・コンソート
タヴァナー合唱団
(管弦楽)タヴァナー・プレーヤーズ
(指揮)アンドルー・パロット


<東芝EMI TOCE-11280-81> 1999年5月26日発売「パーセル:祝典オード&アンセム集」、廃盤。

 

 

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2010-09-14

忘れ去られた大音楽家を聴く:バロックの森 -ケルルの作品- NHK-FM

2010-09-14 0

著名な教師でもあったことから、ほとんどの作品が出版されバッハやヘンデルも研究していたほどで「カノン」で知られるパッヘルベルの音楽には最もケルルの影響が聴かれると言われています。でも、何故か現在では全く忘れられた存在の作曲家です。音楽的にはムファットやフローベルガーと共通したところがあってケルルだけでのCDは少ないのですけれどもムファットやフローベルガー、そしてフローベルガーの師フレスコバルディの音楽と一緒に録音されている機会がありますので心がけて聴きましょう。

純粋に教会でのオルガン演奏のために作曲された《8つのトッカータ》など一部を除いて、鍵盤楽器のための○○○という感じでチェンバロ、オルガンの指定を定めてはいません。19歳の時にヴリュッセル城のオルガニストについてから、亡くなる一年前まで66年間音楽家として通しましたが、8人の子どもからは1人として音楽家になっていない理由は不思議なこととなっています。ケルルの名前が忘れられていったのは、家庭的な事情があったのかも知れません。

 

バロックの森 放送リスト 2010年9月14日火曜日、午前6時放送

- ケルル Johann Caspar Kerll(1627-1693) の作品 -

「トッカータ 第1番 ニ短調」 ケルル作曲
(3分30秒)
(オルガン)ヨーゼフ・ケレメン


<CD:Oehms classics OC362

 

「ウィーン包囲の嘆きを慰めるミサ曲 Missa in fletu solatium obsidionis Viennensis 」 ケルル作曲
(27分56秒)
(合唱、演奏)ヨハン・ローゼンミューラー・アンサンブル
※ヨハン・ローゼンミューラー・アンサンブルのメンバー
(ソプラノ)エヴァ・レープヘルツ・ヴァレンティン
アネグレート・クラインドプフ
(カウンター・テノール)ラルフ・ポプケン
(テノール)イェルン・リンデマン
ニルス・ギーベルハウゼン
(バス)マルティン・バックハウス

「3声のカンツォーナ」 ケルル作曲
(5分28秒)
(演奏)ヨハン・ローゼンミューラー・アンサンブル
(指揮)アルノ・パドゥーフ

「モテット“天使の食事で"」 ケルル作曲
(3分30秒)
(合唱、演奏)ヨハン・ローゼンミューラー・アンサンブル
(指揮)アルノ・パドゥーフ


<CD:Christophorus CHR77249

 

「パッサカリア ニ短調」 ケルル作曲
(6分15秒)
(オルガン)ヨーゼフ・ケレメン


<CD:Oehms classics OC362

 

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