2013-03-09

刑事コロンボ『祝砲の挽歌』 マイ・フェイヴァリット・エピソード

2013-03-09

『祝砲の挽歌』:誰かが後ろから忍び寄っているようなオープニングのカメラワーク。
そのシーンは真犯人・陸軍幼年学校のラムフォード校長(パトリック・マクグーハン)が一人で大砲の弾を工作している様子を背中越しに他に誰もいない室内全体を捉えているのだけど、背後から誰かが彼を殺すのかと錯覚してしまった。
カメラの視点が視聴者の視点に成ること、この難しさがオープニングで作品に引き込めるつかみの良い映像に成るかの境目。
現代ならばCGで違和感のない映像になっていただろう。予算枠のあるテレビ制作の限界を感じた。 http://amzn.to/Xx5RwJ

男ばかりの陸軍幼年学校に女子も受け入れて、共学にすることで入学者の間口を広げたいと考えていた理事長が全校生徒の前で発表することが予測できていた。女子が入れば規律が乱れると昔気質の校長は、その朝、理事長がぶっ放すであろう空砲の弾に仕掛けをしていたのが番組のオープニング。
砲身にボロ切れを押し込んで、当番兵に事故を招いたという濡れ衣をかぶせる計画。コロンボはゲストルームを断って、学生たちと同じ宿舎に泊まり込ませてもらう。学校での規律ある生活を自慢にしている校長の性格をうまく利用している。食事を共にしたり、コロンボの抜け目な差が出ている。ただ、いつもよりボサボサの髪で憎めないトボケぶりがコロンボのいやらしさをフォローしている。
犯人の校長をパトリック・マクグーハンが担当、重厚な演技で素晴らしい。マクグーハンは2009年に80歳で亡くなった。前回BSプレミアムで刑事コロンボシリーズが放映された時だった。英国情報部のスパイの演技が印象的で、恐らく子供の頃にNHK総合で『祝砲の挽歌』が放映された時に、この作品に面白さを教えてくれた。
2人のコントラストがこの一遍の魅力。陰湿な性格の犯人なんだけど、肥後もっこすな一本儀なところが不思議と犯人像と作品を爽快なムードにしている。幾度と観ても、柑橘系の爽快感を感じます。よほど二人の相性が良かったのか、対比の妙が出ると要望が多かったのか、この『祝砲の挽歌』で初共演して以降、刑事コロンボでピーター・フォークと共演を重ねた多くの名優、女優の中で出演&監督作が一番多かった。『仮面の男』、『完全犯罪の誤算』、『復讐を抱いて眠れ』では監督も兼ね、銘品『さらば提督』、『奪われた旋律』の演出は軽妙で冴えている。

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