2010-04-22

ショパン・バラードの最高峰

2010-04-22

音の一つ一つがとても幻想的で美しくて、バラッドという情感が良く感じられるツィメルマンの「ショパン作曲 バラード 全4曲」。
舟唄嬰ヘ長調Op.60,と幻想曲ヘ短調Op.49がデザートというか、陰影の深いバラード集とのバランスはこの上ないプログラムで多くの録音もこれに子守歌を加えているかいないかぐらい。
CDの収録時間には余白がもったいないと感じるのは、数値主義というものでコストパフォーマンスが良いからって「スケルツォ集」を詰め込んでいないところが気に入っている理由の1つでもあるのです。

バラードと言えばお話を語るときの表現形式なのですけど、ヴィヴァルディの「四季」のようなストーリーはショパンの「バラード集」にはありません。インスピレーションのもとになったというポーランドの詩人、アダム・ミツキェヴィチの詩はあるのですけど、具体的な描写ではなくて詩の内面にあるものを音に描いたという感じです。

映画「戦場のピアニスト」以降録音も増えた曲で、ツィメルマンの録音もその流れの中で登場しました。その時のわたしの試聴の感想は、余り感心したとは思えない内容でした。その時はあまりにも映画「戦場のピアニスト」に酔いしれていたため、かけ離れた演奏に感じたのかも知れません。

BS2では今日の午後9時から放送されていますけれども、先日Bs-hiで「刑事コロンボ ビデオテープの証言」が放送されたときに冒頭殺人が行われる時に被害者が聴いている音楽でショパンのバラード第1番が使われていたので改めて聴いてみました。
エントリーの書き出しがその感想。ありがちな表現で恥ずかしいけれども他に表現のしようがないものってありませんか。多くの装飾語を飾ってみても、どれも納得できないという感じです。
1831年、パリに滞在中に書き始めたショパンの代表的な1曲。きっと色々と語りたい事があったんじゃないかしら。
シューマンが書いているように後々の名曲ほどに独創的で、クラシック音楽史を革新に導くような曲ではないけれども舟唄やワルツの要素が詰まっているように感じます。ピアノ協奏曲が青年期に決着をつけた曲だと喩えるならば、独り立ちの不安や、夢、希望、そして愛への渇望が「バラード第1番」に芽生えているものと思います。バラードの全4曲中、1番、3番、4番が好きです。

zimermanChopin Ballade No.1

Posted via email from littleconcert's posterous


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